ASD(自閉スペクトラム症)とは?ASD(自閉スペクトラム症)は、・対人関係や社会的コミュニケーションの困難さ・特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さなどの特性がある発達障害の一つです。知的障害(知的発達症)を伴うこともあります。ASD(自閉スペクトラム症)は多くの遺伝的な要因が複雑に関与して起こる生まれつきの脳機能障害だと考えられています。しかし、はっきりとした原因はまだ分かっていません。5歳児時点でASD有病率は約3.22%ともいわれています。参考:斉藤まなぶ、廣田智也、坂本由唯、足立匡基、高橋芳雄、大里絢子、Young Shin Kim, Bennett Leventhal, Amy Shui,、加藤澄、中村和彦著「5歳児の全母集団サンプルにおける自閉症スペクトラム障害の有病率と累積発生率、および併発する神経発達障害のパターン」『分子的自閉症 11』 (2020)4歳頃は言葉の発達や社会面・精神面での発達が著しく伸びる時期であるため、その遅れに気づきやすい時期ともいえます。3歳児健診などで「様子見」と言われたり、園生活などで集団行動ができずに先生から指摘され詳しい検査を勧められ、受診して気づくこともあります。4歳頃の子どもに多くみられるASD(自閉スペクトラム症)の特性としては、・集団生活が苦手、友達と遊ぶことが苦手・強いこだわり・感覚の過敏さ・癇癪を起こしやすいなどがあげられます。詳しくは次章以降で紹介します。参考:自閉症Q&A|厚生労働省4歳児の発達の目安って?4歳頃になると、言葉や心の発達はもちろん、全身のバランスを取る能力も発達し、体の動きが巧みになっていきます。・自然など身近な環境に積極的に関わり、さまざまな物の特性を知り、それらとの関わり方や遊び方を体得していく・想像力が豊かになり、目的を持って行動し、つくったり、描いたり、試したりするようになる・自分の行動やその結果を予測して不安になるなどの葛藤も経験する・仲間とのつながりが強くなる中で、けんかも増えるが、一方で決まりごとの大切さに気づき、守ろうとするようになるこうした成長の中で、感情が豊かになり、身近な人の気持ちを察し、少しずつ自分の気持ちを抑えられたり、我慢ができるようになったりしていく時期です。参考:児童発達支援ガイドライン|厚生労働省もしかしてASD(自閉スペクトラム症)?幼稚園、保育園で気づいた違和感、こだわり。4歳児の検査、診断4歳児は、幼稚園でいうと年中の年にあたります。幼稚園や保育園などの集団生活の中で、発達の遅れや問題行動が気になってくる時期でもあります。ASD(自閉スペクトラム症)の特性や行動としては、第1章でも触れた発達の遅れ、集団生活(友達と遊ぶことなど)が苦手、こだわり、常同行動、感覚の過敏さ、癇癪などがあります。成長には個人差があるため一概にはいえませんが、園などの集団生活の中で起こりやすいトラブルや困りごととしては、・集団行動や友達と一緒に遊ぶことなどが苦手、指示が通りづらい・大きい音が苦手・粘土、砂場、裸足などが苦手・絵を描くことが苦手、運動が苦手など、不器用さが出てくる・偏食が強く、給食が食べられない・(言葉の遅れがある場合)友達や先生との意思疎通が難しくなるなどがあげられます。園へ行きしぶる・朝送って行ったときに(保護者と離れるとき)泣く、あるいは行事やみんなの前での発表を嫌がる(参加しにくい)など、癇癪を伴う激しい拒否反応が出るケースもあります。3歳児健診で「様子見」と言われた、あるいは4歳になって園の先生に発達の遅れなどを指摘され、検査を受けるかどうか考える保護者の方も多いでしょう。検査は、医師や(発達)心理士が行います。4歳頃に受ける検査は以下のようなものがあります。・問診保護者から、成育歴や「いつぐらいから」「どのような困りごとや症状があるか」などを対話形式で聞き取ります。明確に伝えるためにも、普段の様子をメモしておくといいかもしれません。・行動観察数十分程度、子どもとの対話や遊ぶ中で、どのような言動を取るのかを観察します。・発達(心理)、知能検査「田中ビネー知能検査V」や「新版K式発達検査」、「AQテスト」などが行われます。そのほかにも、ASD(自閉スペクトラム症)の診断で行われる検査は多くあります。専門外来のある小児科、脳神経小児科、児童精神科などで行われることが多いですが、診療できる医療機関は限られています。かかりつけ医や保健センターなどに相談してみるといいでしょう。参考:自閉症|文部科学省参考:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|e-ヘルスネット4歳児に表れることの多いASD(自閉スぺクトラム症)の特性をチェックUpload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特性には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐにASD(自閉スペクトラム症)と診断されるわけではありません。先生などに指摘されたら?受診の目安、療育への手続きについてASD(自閉スペクトラム症)の悩みについての相談先はたくさんあります。しかし、4歳頃になってくると、家庭生活、園生活、友達関係など悩みや困りごとが複雑化し、「どこに相談したらいいか分からない」「何をどう相談したらいいか分からない」というケースも多くあるようです。しかし、何か一つだけでも相談してみれば、そこから少しずつ糸口が見つかっていくかもしれません。・園の先生何人ものお子さんを見てきている先生であれば、「ここに相談してみては」などのアドバイスを受けられることもあります。また、先生とお子さんの状況を共有することで、日常生活の中での改善策を見つけやすくなることもあります。・子育て支援センター小さいお子さんを持つ保護者が交流を深める場ですが、育児不安などについての相談指導もおこなっており、電話相談も可能です。必要に応じて適切な機関の紹介を行います。・保健師・保健センター就学前のお子さんや高校生、成人に対する発達障害の相談も受けつけています。必要に応じて医療機関への紹介なども行います。・療育センター障害のある子どもの症状や特性に合った治療や支援を行う施設です。どのような支援を行っているのか、どのような機能を持った施設かは、施設によって異なります。上記のほかに、発達障害者支援センターなどもあります。4歳はまだまだ発達の個人差が大きい時期なので、お子さん一人ひとりにあった子育てのアドバイスをもらうようにしましょう。4歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断された、あるいは様子見と言われているけれど、少しでも困りごとを減らしてあげたいと療育を考え始めている保護者も多いと思います。療育とは、「障害のある子どもに対してそれぞれの特性に応じた身体的・精神的機能の発達を促し、日常生活や社会生活を円滑に営めるように行うもの」です。4歳の場合は、「児童発達支援」で行う日常生活の自立のための療育や学習支援、運動プログラムなどが主になります。学習・訓練といったものではなく、その子の特性に合ったプログラムを、楽しみながら、子どもが興味のあるものを取り入れながらおこないます。自治体管轄などの公的機関、あるいは民間でも公費で提供しているところで「障害児通所支援」を利用して療育を受けるためには、まず「通所受給者証」(通称:受給者証)の取得が必要です。受給者証があれば、利用料金の助成を受けることができます(子どもが満3歳になって初めての4月1日から3年間の間は無償です。それ以前や学齢期以降は1割負担になります。家庭によって上限額が異なります)。療育の内容は施設によって異なります。短期間で身につくものではなく、じっくりスモールステップで、あるいは何度も同じようなシチュエーションを繰り返すことで、少しずつ社会性が身についたり、困りごとが少なくなっていきます。中長期にわたって通うことになるので、子どもの特性に合った療育が受けられるか、通うのに遠すぎないか、空きがあるかなどの情報リサーチも大切になってきます。参考:ともに歩む親たちのための家族支援ガイドブック|厚生労働省参考:小林 勝年, 儀間 裕貴, 北原 佶著「エビデンスに基づく療育・支援とは何か」『子どものこころと脳の発達』2020 年 11 巻 1 号 p. 3-10発達で少しでも気になることがあったら、一人で抱え込まず、まずは周りに相談をしましょう。少しずつでも子どもの日常生活の困りごとを減らしてあげることで、将来の見通しも立ちやすくなります。4歳児は他者との関わりが増え、身辺自立に向けての基礎がしっかりつくられていく時期です。早期介入・早期支援が大きなカギとなってきます。また、どの環境においてもできるだけ同じ支援をすることも重要です。園の先生をはじめ子どもと関わる人に子どもの状況や特性を伝え、共有することも大切です。(新美先生コメント)集団生活に入ると、家庭での様子とは異なるお子さんの姿が見えることもあり、保護者の方が気になってしまうことが増えるかもしれません。集団生活の中でストレスを受けやすいお子さんの場合、園での生活の仕方を調整していったほうが健やかに育めると思います。園での集団活動で困難さがある場合や、園では周囲に合わせているけれど過度にストレスが溜まって、行きしぶりや家での癇癪・こだわりが強まる場合なども、必要に応じて専門機関につながることで、お子さんの強みと困難さ、適した関わり方が見えてくることもあります。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月11日ASD(自閉スペクトラム症)とは?ASD(自閉スペクトラム症)とは・対人関係や社会的コミュニケーションの困難・特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さなどの特性が幼少期に現れる発達障害の一つです。知的障害を伴うこともあり、日常生活の中で困難を感じることも多くあります。ASD(自閉スペクトラム症)は、生まれつき脳内の情報処理の仕方に障害があるために発症すると考えられていますが、その原因はまだよく分かっていません。遺伝的要因をはじめとした、さまざまな要素が複雑に関与していると考えられていますが、発症するまでのメカニズムはいまだに不明とされています。3歳になると、保育園・幼稚園などで他者と過ごす時間も増えてくるため、人との関わりや集団生活の中で困難や問題などに気づくことも多くなってきます。3歳頃にみられるASD(自閉スペクトラム症)の特性としては・言葉の遅れ(コミュニケーションが苦手)・独特な興味や行動パターン・光や音、触れられることなどへの感覚過敏・急な予定変更などに対応できない(癇癪を起こすなど)・集団生活が苦手(じっとしていられない、先生の指示が通らないなど)などが挙げられます。詳しくは第3章で紹介しますが、3歳児健診において指摘・診断されるケースも増えます。参考:自閉症Q&A|厚生労働省3歳児の発達の目安って?定型発達児における、3歳児の発達の目安としては、・基本的な運動機能が伸び、それに伴い食事、排泄、衣類の着脱などもほぼ自立できるようになる・話し言葉の基礎ができて、盛んに質問するなど知的興味や関心が高まる・自我がよりはっきりしてくるとともに、友達との関わりが多くなる(実際には、同じ遊びをそれぞれが楽しんでいる平行遊びであることが多い)・大人の行動や日常生活において経験したことを「ごっこ遊び」に取り入れ、象徴機能(見立て)や観察力を発揮して、遊びの内容に発展性がみられるようになる・予想や意図、期待を持って行動できるようになるなどが挙げられ、情緒面・社会面でぐっと成長する時期ともいえます。参考:保育所保育指針解説書 |厚生労働省ASD(自閉スペクトラム症)と診断されるのは3歳児から?言葉が遅い、集団生活が苦手……違和感や気になるサイン園生活がスタートしている子どもも多いため、集団生活の中で・社会性(集団行動ができない、指示が聞けない、友達と遊べない)・感覚過敏(大きい音が苦手、砂場、裸足などが苦手)・常同行動(同じ行動を繰り返す)などのトラブルが起きやすい傾向にあります。また、家庭内の困り事として・こだわりが強く、気持ちの切り替えが苦手・感覚過敏、鈍麻、こだわりなどでトイレトレーニングが進まない・園への行き渋り・言葉の遅さあるいは言葉は出ているが、会話がスムーズにできない。聞かれたことに答えにくいなどといった場面がみられることが多いと言われています。3歳児健診では、「PARS-TR」「SDQ」などでASD(自閉スペクトラム症)のスクリーニングチェックを行う場合があります。「PARS-TR」はASD(自閉スペクトラム症)の傾向を知るための検査で、こだわり行動や遊びや言語の発達など、12項目について保護者から聞き取ります。0点・1点・2点の3段階で評定し、合計得点からASD傾向の強さを導き出し、今後の有効なフォローに繋げていくものです。「SDQ」は、行為面・多動性・情緒面・仲間関係・向社会性の5項目の質問から、子どもの適応と精神的健康の状態を包括的に把握するためのものです。そこからさらに詳しい検査が必要な場合は、問診や行動観察、「新版K式発達検査」「遠城寺式乳幼児分析的発達診断検査」などの発達検査、知能検査、場合によっては脳波検査などを行い、診断されます。参考:効果的な巡回相談支援のための基本と実践|厚生労働省3歳児に表れることの多いASD(自閉スペクトラム症)の特性による症状Upload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特徴には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐにASD(自閉スペクトラム症)と診断されるわけではありません。受診の目安や、療育への手続き、保護者ができることなど集団行動も増えるため、気になる言動が目立つ時期ともいえます。保護者や先生から見て、生活するうえでの困難さや気になる行動があった場合は、早めに相談・受診しましょう。市区町村の保健師・保健センターなどに相談してみましょう。また児童精神科、自治体や民間の子育て支援窓口、療育機関などでも相談は可能です。園に通い始める子どもも多いので、先生に園生活の様子やどこで相談できるかを聞いてみてもいいでしょう。3歳児健診時や集団生活が始まり、先生からの指摘や紹介で療育に通うことを考え始める保護者も多いのではないでしょうか。子どもの発達には個人差があるため、何歳で必ずこの特性が出る、というものではありませんが、早い段階で気づけばその子どもに合った療育を早期にスタートすることができます。療育とは、「障害のある子どもに対してそれぞれの特性に応じた身体的・精神的機能の発達を促し、日常生活や社会生活を円滑に営めるように行うもの」です。療育(発達支援)には、自治体などの管轄の公的機関で行うもののほかに、民間の施設などで行うものがあります。大学病院など一部の医療機関ではOT(作業療法)やST(言語療法)などを行っている場合もあります。自治体のほか、民間の施設の中にも公費で受けられる発達支援を提供しているところがあります。この支援は「通所受給者証」(※)を所持していると利用でき、利用料金の助成を受けることができます(基本的に1割負担となりますが、満3歳になって初めての4月1日から3年間は無償となります。また、家庭によって上限額が異なります)。療育では子どもにだけでなく、保護者にも日頃どのような対応や声掛けをすれば良いのかも教えてくれます。療育は子ども自身の生活QOLやスキルを上げるだけでなく、日常生活における親子で抱える困難やストレスを軽減することにも繋がります。※福祉サービス等を利用するために発行される証明書のこと。自治体に申請して、審査のうえ発行される。日数(支給量)や、月額の利用料の上限額(上限負担額)が記載されている。参考:小林 勝年, 儀間 裕貴, 北原 佶著「エビデンスに基づく療育・支援とは何か」『子どものこころと脳の発達』2020 年 11 巻 1 号 p. 3-10参考:共に歩む親たちのための家族支援ガイドブック|厚生労働省ASD(自閉スペクトラム症)にとって、早期発見、早期療育はとても重要です。社会面・情緒面で大きく伸びる3歳前後で早期介入・支援をスタートすると、社会的なスキルやコミュニケーション能力が向上する場合もあります。成長や発達に個人差はありますが、保護者だけでなく子どもに関わる人からの情報をもとに、相談や受診につなげることが大切です。(監修:新美先生より)園での集団生活が始まる3歳児では、保護者も周りと比べて焦ってしまうことが増えるかもしれません。ですが、3歳ごろのお子さんにとって大事なことは、不安に圧倒されたりストレスを感じすぎずに、自分なりの好奇心を満たして楽しく日々を過ごせるかだと思います。興味がほかの子と少し違っていたり、ほかの子はストレスに感じないことがストレスになるのだとしたら、お子さんのタイプをよく見極めてお子さんに適した育て方をするために、療育という場を上手に使っていけるといいかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月10日私は、5歳3歳0歳の3人の息子を持つママです。これは、三男がまだ生まれて間もないころに、子ども3人を連れて小児科を受診したときの話です。子どもを3人連れての外出は、周りの方に迷惑をかけないようにと常に気を張っており、特に病院はより緊張していました。しかし、あることをきっかけに、心が軽くなり、堂々と子連れで出かけられるようになったのです。 子どもとの通院はストレスの連続この日は、長男の受診を予定しており、息子たち3人を連れて小児科へ行きました。長男と次男は、病院に着くなり院内をウロウロと歩き回り、落ち着きません。 「病院は具合の悪い人が来る所だから、騒いだりしないで静かに待とうね」。そう言い聞かせても息子たちは聞く耳を持たず、2人して騒ぎだしてしまいました。同時に、生後間もない三男も泣き出してしまい、私たち家族は周りからの冷ややかな視線を浴びることになったのです。 隣に座る女性から「ちょっとお母さん?」順番待ちもあと1組となり、外へ行く時間もない中、息子たちに「静かにしなさい」と言い続けるので精いっぱいに。そんなとき「ちょっとお母さん?」と隣に座る高齢の女性から声をかけられました。 怒られることを覚悟して「はい」と答えると、女性は「あなたの大変な気持ちわかるわ。何か協力できることはない?」とやさしく私に声をかけてくださいました。 子ども=迷惑ではない「ありがとうございます。そのひと言で救われます。ご迷惑おかけし申し訳ありません」。私が女性にそう答えると、「迷惑だなんて思わないで。先生に呼ばれるまでおばちゃんと一緒にお話ししましょう」と言って、女性は長男と次男の話し相手をしてくださいました。 子連れで出かけると頻繁に「うるさい」などネガティブなことを言われることも増え、「子ども=迷惑な存在」なのだという意識になっていた私。しかし、女性に「迷惑じゃない」と言われたことで心が軽くなったことを今でも忘れられません。 それまで外出先で注意を受けることはあっても、あのときの女性のように助けてもらった経験はあまりありませんでした。しかし、子育てをしている方々は皆必死だと思います。決して、迷惑をかけるために騒がせているわけではないと思います。私もこの先、こんな場面に出くわしたら、「手伝えることはないですか」と声をかけることのできる女性になりたい、そして子どもたちにもそんな人になってもらいたいと思った出来事でした。 作画/ぐら子著者:はやきゆうこ3兄弟のママ。5歳・3歳・0歳のやんちゃな男の子3人と多忙な夫の5人家族。子育ての経験を中心に執筆活動中。
2024年02月08日ASD(自閉スペクトラム症)とは?ASD(自閉スペクトラム症)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。知的障害(知的発達症)を伴うこともありますが、2歳児は「イヤイヤ期」といわれる時期でもあり、ASD(自閉スペクトラム症)の診断がつかず様子見という場合も多くあります。参考:自閉スペクトラム症 (ASD) の特性理解 (著)傳田 健三ASD(自閉スペクトラム症)の遺伝に関する研究結果として、発症・発現に何らかの遺伝的な要因が関係している可能性が高いと考えられています。しかし、はっきりとした要因はわかっていません。遺伝要因と環境要因の相互影響が複雑で、かつ偶然性に左右される部分も多いといえます。1歳に続き、この時期の成長・発達には大きな個人差があります。2歳で「ASD(自閉スペクトラム症)かも?」と診断される可能性のある行動や反応として、主に・言葉の発達に遅れがある(2語文を話さない、オウム返しが多いなど)・激しい感覚過敏やこだわりがある・他人に関心が薄いなどが挙げられます。詳しくは次章以降で紹介しますが、2歳ではASD(自閉スペクトラム症)と診断されることは少なく、「様子見」といわれることが多い傾向にあります。参考:7_自閉症|文部科学省2歳児の発達の目安って?ここでは定型発達児における、2歳児の発達の目安を紹介します。1歳児に比べてできることも格段に増え、言語獲得は2語文を話す程度といわれています。・歩く、走る、跳ぶなどの基本的な運動機能や、指先の機能が発達する・食事、衣類の着脱など身の回りのことを(完璧ではないが)自分でしようとする・排泄自立にむけての身体的機能が整ってくる・発声が明瞭になり、語彙も著しく増加し、自分の意思や欲求を言葉で表出できるようになる・盛んに模倣し、大人や同年齢の子どもと一緒に簡単なごっこ遊びを楽しむようになる・行動範囲が広がり探索活動が盛んになる中、自我の育ちの表れとして、強く自己主張する「自我の表われ、強い自己主張」は、いわゆるイヤイヤ期であるといえるので、定型発達児でも強い癇癪を起こしやすい時期であるといえます。参考:保育所保育指針解説書 |厚生労働省参考:イヤイヤ2歳|国立障害者リハビリテーションセンターASD(自閉スペクトラム症)の特性は2歳児でも表れる?言葉、感覚過敏、こだわりなど…違和感や気になるサイン2歳児は「イヤイヤ」が強く出る時期であるため、「激しい癇癪やこだわりがあるのはASD(自閉スペクトラム症)だから?」と思ってしまうこともあるかもしれませんが、その他に見られる日常の様子を見ていくことが大切です。では2歳児の気になる発達の遅れや特性とは、どのようなものがあるのでしょうか。2歳台の子どもの気になる行動として、・人見知りが強い、または少なすぎる・他人の行動を真似・模倣しない・見てほしいものや興味があるものについて共感を求めてつたえようとしない・「まんま、たべる」「ワンワン、いた」などの2語文を話さない・極端にまぶしがる、大きな音に過剰に反応するなどの感覚過敏(反対に鈍感すぎる)・突然癇癪を起こす、またそのあとの切り替えが難しい・変化をひどく嫌う、特定のものへの強いこだわり(場所見知りや強い偏食など)などが挙げられます。1歳6ヶ月児健診では「M-CHAT」という質問紙を使用した「スクリーニング検査」が推奨されていますが、2歳児にも引き続き参照されることがあります。1歳台と同様に社会性、言葉の発達(喋るのが遅い)などが表れやすい傾向があると共に、感覚過敏や癇癪やこだわりなども多く出てくる時期です。「M-CHAT」などの検査で当てはまる項目が多くても、2歳児は自我が芽生える時期であり、成長にも大きな個人差があるため、ASD(自閉スペクトラム症)であるか判断ができず、様子見となることもあります(基本的にM-CHATは保健師などがチェックするものであり、保護者自身がチェックするものではありません)。2歳児に表れることの多いASD(自閉スペクトラム症)の特性による症状Upload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特徴には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐにASD(自閉スペクトラム症)と診断されるわけではありません。相談や受診の目安、保護者ができることとは?成長に個人差はありますが、・過敏さが強く、まとまった睡眠がとれない・ほかの子どもの遊びにあまり興味を持たない・親にも積極的に働きかけない・こだわりが強く、生活するのが難しい・目が合わない、呼んでも反応が悪いなど、日常生活の中で、困りごとが多い場合や保護者の方が心配な場合は相談しましょう。子どもの発達が気になる場合、どこへ相談すればいいのでしょうか。・市町村の保健師・保健センター母子の健康をサポートするためのさまざまな相談やサービスを受けることができます。・行政福祉窓口市・区役所等の福祉課で相談方法を知ることができ、困りごとに適した相談機関を紹介してもらえる場合があります。・発達障害者支援センター各県に1ヶ所以上あり、発達障害についての相談の対応を行っています。その他、保健所、療育センターなどもあります。また、全国に親の会などもあるので、利用してみてもいいかもしれません。診断された、あるいは発達の遅れなどが気になるから、早く療育を受けたいという保護者も多いと思います。療育とは、「障害のある子どもに対してそれぞれの特性に応じた身体的・精神的機能の発達を促し、日常生活や社会生活を円滑に営めるように行うもの」です。療育(発達支援)には、自治体などの管轄の公的機関で行うもののほかに、民間の施設などで行うものがあります。大学病院など一部の医療機関ではPTなどを行っている場合もあります。自治体のほか、民間の施設の中にも公費で受けられる発達支援を提供しているところがあり、この支援は「通所受給者証」(※)を所持していると利用でき、利用料金の助成を受けることができます(基本的には1割負担ですが、満3歳になって初めての4月1日から3年間は無償となります。また、家庭によって上限額が異なります)。ASD(自閉スペクトラム症)は早期発見、早期療育がのちの社会生活に大きく影響するといわれています。できるだけ早い時期から療育を行うことで、日常生活や園・学校生活における困難の軽減や生活能力の向上を促すことができると考えられています。※福祉サービス等を利用するために発行される証明書のこと。自治体に申請して、審査の上発行される。日数(支給量)や、月額の利用料の上限額(上限負担額)が記載されている。参考:小林 勝年, 儀間 裕貴, 北原 佶著「エビデンスに基づく療育・支援とは何か」『子どものこころと脳の発達』2020 年 11 巻 1 号 p. 3-102歳児は1歳児に比べ、言語やできることも増える分、自我の芽生えも強く出る時期といえます。それが「イヤイヤ期」によるものなのか、ASD(自閉スペクトラム症)の特性からくるものなのかはなかなか見極めにくいかもしれません。1歳児同様、発達には大きな個人差があるため、この時期だから必ずこの特徴が出るという確定的なものはありませんが、気になるポイントがあったら、早めに相談・受診しましょう。(監修:新美先生より)2歳ごろには、お子さんの行動範囲も増えてきて、好きなもの興味あるものと、興味ないものがはっきり見えてくる時期ですね。興味ないこと、苦手なことを無理強いするのは効率が悪いので、本人が興味あることを足掛かりに、興味の幅を増やしたり人とかかわることの楽しさも見つけていけるといいですね。保護者の方にとって関わり方が難しいなと感じる場合、専門機関に相談するのも、お子さんにあった子育てを知るためのきっかけになるかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月07日生後10日ほどで高熱を出してしまった息子。念のため総合病院で検査をすることになり、近くに住んでいる義母が付き添ってくれました。付き添ってくれたのはうれしかったのですが、そこで耳を疑うひと言を聞いたのです……。生後10日で高熱!第三子となる息子が生まれ、無事退院したのも束の間。39度近い高熱が出て、口内炎のようなものがたくさんできてしまい、哺乳もままならない状態に。かかりつけの小児科に行ったものの、まだ生まれて10日ほどしか経っていなかったため、念のため総合病院で検査してもらうよう言われました。3人目の子どもとはいえ、生後10日で高熱を出すことは初めてだったので、さすがに不安になりました。 義母が付き添ってくれることに……そのことを義母に話すと、心配だからと付き添ってくれることに。不安も募っていたため、付き添ってくれるのはとてもありがたいし、心強く感じました。そして総合病院の小児科で検査をするべく待合室に座って待っていると、診察の順番がきたことを知らせる画面に息子の名前が表示されました。 そのとき、義母が信じられないひと言を放ったのです。 それ、今言う必要ある!?画面に表示された息子の名前を見て義母が言い放ったのは、 「やっぱり、なんか格好悪い名前よね〜」 ……一瞬、何を言っているのか理解できないほど衝撃的なひと言でした。 診察を受けながら少しずつ怒りが込み上げてきて、「そう思っていたとしても、今この状況で言う必要ある!?」と、心のなかでイライラが募りました。 検査は無事終わりましたがその日に結果は出ず、なんだかモヤモヤした1日でした。 その後、検査結果をひとりで聞きに行き、その後、息子の体調もよくなりました。 病院での一件以来も、義母はまったく悪びれた様子もなく接してきますし、孫のこともかわいがってくれています。義母の好みの名前ではないという本音が、とっさにポロっと出てしまったのでしょう。名づけたばかりでその名前を否定されるのは正直悲しいものがありましたが、状況的に私も少し気にしすぎてしまった部分があったと思います。今後はあまり細かい発言は気にせず、義母とは良い関係を保ちたいと思います。 著者:松本寛子結婚を機に地方へ引っ越し出産。自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2024年02月07日こんにちは、小児科医の保田典子です。私生活では3人の子どもを子育て中の母です。今回は「野菜ジュース」について。離乳食が果汁からだった時代もありますが、今はなるべく子どもに果汁(ジュース)をあげないほうが良い、という時代になってきています。実は、野菜不足が心配でついつい飲ませてしまう(!?)野菜ジュースも同じです。なるべく飲ませないほうが良いと言われるようになってきています。なぜでしょうか?ジュースがダメな理由世界保健機構(WHO)などでは「幼児までの子どもには100%ジュースも糖分のとり過ぎになるとして飲ませないほうが良い」としています。糖分のとり過ぎは虫歯のリスクが高まったり、肥満のリスクが高くなるためです。 一方、フルーツそのものに関しては、食べないほうが良いということはありません。フルーツそのものであれば、食物繊維など糖分以外の物も含まれるため、栄養素の吸収も変わってくるからです(もちろん摂取目安量はありますが、そこまで厳しくしなくても良いと私は考えています)。 そのため、現在、小児科では「そもそもジュースは子どもに与えるものではない」という指導をしています。 糖分の摂取目安WHOでは、「1日の遊離糖類摂取量を総エネルギー量の10%未満に抑えましょう、5%未満だとさらに良い」と言われています。 厚生労働省健康局から出ている「標準的な健診・保健指導プログラム【平成30年度版】」によると、「遊離糖類とは、グルコースやフルクトース等の単糖類、スクロースや砂糖等の二糖類等食品や飲料の加工調理で加えられるもの、並びに蜂蜜、シロップ、果汁、濃縮果汁等に自然に存在する糖類のこと」を指します。※はちみつは乳児ボツリヌス症予防のため、満1歳までは絶対に与えないようにしてください。 例えば、1〜2歳の推定エネルギー必要量は1,000kcal程度(厚生労働省資料より)なので、5%未満とすると遊離糖類摂取量は12.5g程度が望ましいということです。 スポーツドリンク500mLだと約30g、100%ジュースでも200mLで20g、野菜ジュース720mLで約50gの炭水化物(糖質+食物繊維)が含まれています。ジュースに食物繊維はほとんど含まれていないことを考えると、このうちの“ほとんどが糖質”ということになります。 糖質はジュースにだけ含まれているわけではないので、ジュースだけで糖質の必要量をとってしまうと、明らかに糖質のとり過ぎになってしまうのです。 野菜不足を野菜ジュースで補わないで野菜をあまり食べないことが多い子どもたち。ついつい野菜不足が心配で野菜ジュースを飲ませてしまうこともあると思います。もちろん、野菜はたくさん食べてほしいものですが、野菜の栄養素よりも余計なものをとってしまっては本末転倒です。 子どもが好きな味つけにしてみたり、食感に変えてみたりなど、子どもが食べやすいようひと工夫することで、食べてくれるようになることもあります。野菜不足はしっかり野菜で補い、水分は水や麦茶を飲ませるようにしたほうがいいと思います。 とはいえ、子どもが野菜を食べてくれないというご家庭も多いと思います。わが家では子どもたちが嫌いな野菜もありますが、好きな野菜を重点的に出すようにしています。 さまざまな野菜を食べてほしいので、いろいろ出すようにしますが、食べてくれないこともよくあります。それでもめげずに出し続けることと、ビタミンは他の食べ物からもとれるので、焦らず無理して食べさせないようにしています。好きな野菜も出してあげて「おいしいね」と食事を楽しむことが大切かなと考えています。 ジュースなどの甘くおいしい飲み物の味を一度覚えると、頻繁にジュースを欲しがるようになってしまいます。小さいうちから毎日ジュースを与えてしまい、水や麦茶を一切とらなくなってしまったというケースもあります。 子どもに野菜ジュースなどのジュースを与えないという選択は、子どもに水分をとらせることに苦労したり、虫歯治療に通うことになったりと、将来的に後悔しないために今できる「ラクになる育児」の1つです。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生
2024年02月06日自閉スペクトラム症(ASD)とは?ASD(自閉スペクトラム症)は、社会的コミュニケーションや対人関係の構築が難しい、また常同的・反復的行動が多くみられる、乳幼児期に出現する精神発達の障害です。普段と違うことを嫌がる、大きな音や光などへの感覚の過敏さがあるなど、「強いこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」という特性もあり、知的障害(知的発達症)を伴うこともあります。症状の程度はそれぞれの人によって差があるため、スペクトラム(spectrum:範囲や連続体など幅を持った分布の意味)として診断されるようになりました。参考:傳田 健三著「自閉スペクトラム症 (ASD) の特性理解」『心身医学』57 巻 (2017) 1 号 P.19-26ASD(自閉スペクトラム症)は生まれつきの脳障害で、脳内の情報処理の仕方に障害があるといわれていますが、その原因はまだ分かっていません。この時期の成長や発達には大きな個人差がありますが、1歳でASD(自閉スペクトラム症)であると診断される指標として、・共同注意場面において「指さし」や「(他者の)指さし方向に顔を向ける」行動が出にくい・「他者の顔を見てほほえむ」などの社会的行動が出にくい・定型発達の1歳児にみられる「関心の共有」に興味を持ちにくいなどがあげられます。次章以降で詳しく紹介します。参考:横山佳奈、吉田翔子、永田雅子著「自閉スペクトラム症児への早期介入における現状と展望」『名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要 心理発達科学(Web) 』66巻 (2020) P.7-16参考:自閉症Q&A|厚生労働省1歳児の発達の目安って?定型発達児における、1歳頃の発達の目安としては、・歩き始め、手を使い、言葉を話すようになる・身近な人や身の回りの物に自発的に働きかけていく・歩く、押す、つまむ、めくるなど、さまざまな運動機能の発達や新しい行動の獲得により、環境に働きかける意欲を一層高める・物をやり取りしたり、取り合ったりする・おもちゃ等を実物に見立てるなどの象徴機能が発達し、人や物との関わりが強まる・大人の言葉を理解するようになり、自分の意思を親しい大人に伝えたいという欲求が高まる・指さし、身振り、片言などを盛んに使うようになり、二語文を話し始めるなどがあげられます。参考:保育所保育指針解説書 |厚生労働省ASD(自閉スペクトラム症)の特性は1歳児でも表れる?--違和感や発達の遅れ、気になるサイン1歳児は言葉の表出がまだまだ乏しいため、日常の中で気になる行動を見逃さないことが大切です。1歳頃に表れる、気になる発達の遅れやサインとは、どのようなものがあるのでしょうか。1歳児の気になる発達の遅れ、1歳児に表れやすいASD(自閉スペクトラム症)の特性として、・目が合いにくい、呼ばれても反応しない・社会性、言葉の発達(喋るのが遅い)などが表れやすい傾向・睡眠の問題(寝つきが悪い、途中で目が覚める、夜泣き)・人見知りがなさすぎる、あるいは人見知りが強すぎる、場所見知りが強いなどがあげられます。子どもにASD(自閉スペクトラム症)があるかどうかの診断において、厚生労働省は1歳6ヶ月児健診でM-CHATという質問紙を使用した「スクリーニング検査」を推奨しています。対人(対象物)関係や行動面(こだわりや常同行動など)、日常生活における反応や行動を、保護者から聞き取ります。・ほかの子どもに興味がありますか?・何かに興味を持った時、指をさして伝えようとしますか?・あなたのすることをまねしますか?(バイバイや拍手など)・名前を呼ぶと、反応しますか?など、実に20項目にわたり、将来において社会性の重要な基盤となる「非言語の対人コミュニケーション行動」を確認します。成長は個人差が大きいこともあり、M-CHATでASD(自閉スペクトラム症)の可能性が高いとされた1歳児のすべてがASD(自閉スペクトラム症)と診断されるわけではありません。また、基本的にM-CHATは保健師などがチェックするものであり、保護者自身がチェックするものではありません。参考:「改訂乳幼児期自閉症チェックリスト修正版」M-CHAT-R_F_Japanese.pdf(mchatscreen.com)1歳児に表れることの多いASD(自閉スペクトラム症)の特性による症状Upload By 発達障害のキホン※成長の個人差は大きいので、すべてに当てはまる、あるいは当てはまる項目が多いからといって「ASD(自閉スペクトラム症)である」というわけではありません。どこに相談や受診をすればいい?保護者ができることとは?1歳児は成長の個人差がとても大きく、発達の振れ幅が多い時期ですが、育てづらさがあったり、「この子に合ったよりよい関わり方を知りたい」と思ったら、まずは自治体の保健師さん・保健センターに相談しましょう。それ以外にも保健所や療育センターなどでも相談できます。参考:「1歳を迎えるお子さんをもつ保護者の方へ」|国立障害者リハビリテーションセンター子どもの発達について不安に思った場合は日常の様子をメモするなど、記録に残しておくことも大切です。保護者が見たこと、感じたことは何より重要な資料であり、それが早期発見、早期療育にもつながります。ただし、1歳児は成長・発達の個人差が一番大きい時期ともいえます。過度に心配したり気にしすぎたりせず、様子を見ながらおおらかな気持ちで接することも大切です。(監修:新美先生より)1歳頃のお子さんを育てるうえで、「1歳の子どもはこうであるべき」「1歳の子どものしつけはこうするべき」ということにとらわれ過ぎる必要はありません。うちの子はこういうことに興味があるんだな、こういうことをしていると楽しそうだな、こういう場面で困っているな、こういうシチュエーションは不安になるんだな・不快なんだなというお子さんの興味や苦手を探して、好きなこと興味ある活動を増やして、不快を減らして安心を増やすという方向性で関わっていけば間違いはないかなと思います。その中で、睡眠がとれない、癇癪が強すぎるなど、親子が生活しづらい困りごとがある場合は、相談機関に早めに相談するのもよいと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月02日長女を連れて総合病院の小児科を受診したとき、キッズスペースでかわいい女の子と出会いました。とても人懐っこい子だったのですが、その子の母親はずっとスマホをいじっていて、その子が母親に声をかけたとき、母親からは驚きの返答が……。 キッズスペースには先客がこれは、長女が生後8カ月だったときのお話です。発熱と咳・鼻水などの風邪症状があり、総合病院の小児科を受診することにしました。そこの小児科の待合室には広めのキッズスペースがあり、おもちゃや絵本が置いてあります。私は受診の手続きを済ませ、長女とキッズスペースで順番を待つことに。 キッズスペースには先に遊んでいる女の子がいて、その子はとても人懐っこい子で、私と長女がキッズスペースに入ると駆け寄ってきて「〇〇って言うの。3歳。アンパンマンとドキンちゃんが好き!」と自己紹介をしてくれました。 女の子の母親は…私は長女の相手をしながら、ひとり遊びをしている女の子を遠目に見ていました。キッズスペースに入っている大人が私しかいなかったからか、おままごとセットで遊んでいたその子は「ハンバーグができました!」や「ジュースをどうぞ」と、私のほうに何度も出来上がった料理を持ってきてくれたのです。 女の子は、待合室の椅子に座っている母親に「お姉さん(私)と遊んでる!」と言い、母親は私のほうを見向きもせず「よかったねー!」と、ずっとスマホをいじっていました。 そのうちおままごとに飽きたのか、絵本を持ってきて母親に「これ読んで!」とキッズスペースから声をかける女の子。すると、母親はスマホをいじりながら「お姉さんに読んでもらいなー」と言ったのです。 私は「他人にここまで子どもの相手を任せるってどうなの?」とモヤモヤしましたが、ちょうど長女が診察室に呼ばれ、私たちはキッズスペースを後にしました。 その一件以降、小児科を受診してもキッズスペースはなるべく使わず、ベビーカーと持参のおもちゃで待ち時間をやり過ごすように。キッズスペースを使うときには、他の子の相手は最低限に留めるよう気を付け、同じようなことにならないように意識していました。 著者:吉川 みきなイラスト制作者:マンガ家・イラストレーター うちここ
2024年01月31日子どもが2歳のときの話です。何気なくおむつを替えるときに子どものおしりを見ると、割れ目の所に小さな穴があることに気が付きました。聞いたことのない病名に驚き念のため、かかりつけの小児科の先生に診察してもらったところ、すぐに大学病院で診てもらうように言われました。大学病院に連れて行ったところ、先生から聞いたことがない病名、「二分脊椎」だと言われました。手術が必要とのことで、1カ月後に手術をしました。脊椎まで穴が続いていたら今後歩行に問題が生じるとのことだったのですが、幸い大丈夫で穴を閉じてもらいました。ただの穴だと思って見過ごさず、病院へ行き本当によかったです。 ベビーカレンダーで監修をしてくださっている小児科医の三石知左子先生曰く、二分脊椎症には、神経の組織が皮膚から露出している「開放性二分脊椎」と、皮膚に覆われて表面から背骨の異常が見えない「潜在性二分脊椎」の2つあるそうです。二分脊椎症の症状には、下肢の運動機能障害や膀胱直腸機能障害などが見られ手術が必要となるため正確な診断が必要だと言います。◇◇◇おしりの近くに小さな穴があったことで今回は発見することができました。しかし、小さな穴だけでなく特徴は人それぞれで見た目ではわかりにくいかもしれません。何か違うと思うことや不安なことがあったら、迷わず受診することをおすすめします。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師 松田玲子作画/まげよ著者:さくら みお
2024年01月30日ワンオペ育児とは?なぜ起こる?発達の気になる子どもの対応Q&A、相談先についても紹介ワンオペ育児とは、保護者一人に育児の負担が偏っている状態を表す言葉です。単に一人で育児をするのではなく、「孤独な育児」という意味が含まれていて、昨今社会的関心を集めています。そもそもワンオペとは「ワンオペレーション」、つまり一人で作業することを意味していて、コンビニエンスストアや飲食店などで、店員一人だけで店を回している状態に対して使われていました。そういった過酷な働き方と一人で育児をする保護者の状況が似ているということで、2010年代半ば頃からインターネットなどで「ワンオペ育児」という言葉が使われるようになり、今ではニュースなどでも取り上げられることがあるほど注目を集めています。現在ワンオペ育児を担っているのは保護者の中でも母親が多いと言われているため、この記事でもワンオペ育児をする母親の状況などを主に記載していきます。実際に発達ナビのサイト内でも、「ワンオペ育児でもう限界……」「イライラしてしまうことがあっても、ワンオペなので逃げ場がありません」など、ワンオペ育児に疲れた様子の書き込みが見られます。ワンオペ育児は一人で子育てを行っている状態のため、悩むことがあっても相談相手がいないことや、時間や精神的な余裕がなくて自治体の子育て窓口に連絡ができないということがあります。その結果、適切な支援を受けることができずに育児のつらさが解消されず、心身の疲労が蓄積することで、精神疾患の発症や、子どもへの望ましくない関わりなどを招いてしまいかねないと言われています。参考:三谷 はるよ著「育児期の孤独感を軽減するサポート・ネットワークとは」『家族社会学研究』32 巻 (2020) 1 号 P.1-2なぜ起きる?ワンオペ育児の原因ワンオペ育児になる原因には、日本社会の労働環境や家庭環境、パートナーの姿勢や親自身の性格的傾向といった、さまざまな要因が考えられています。・パートナーの労働環境により、育時休業や時短勤務ができない近年では日本でも男性の子育てへの参加意識が高くなっていると言われています。厚生労働省は2010年から男性の育児休業促進などを目的とした「イクメンプロジェクト」を行っており、国内での関心も高まっていると思われます。しかし、政府が掲げている目標では、2025年までに男性の育児休業取得率を30%までに上げるとしていますが、2021年時点で13.97%と目標にはまだ遠く及ばないのが現状です。また、日本の男性は諸外国に比べて仕事に費やす時間が長いというデータもあります。令和4年に内閣府男女共同参画局がまとめた資料によると、2020年のOECD(経済協力開発機構)による調査では、週全体平均で日本の男性の有償労働時間は一日あたり452分でした。これは日本の女性の有償労働時間の約1.7倍となっています。こういった社会的背景から、父親は育児をしようとしても時間が取れず、母親一人で育児をせざるを得ない状況が起きていると考えられます。・頼れる実家や親戚が近くにいないワンオペ育児になる要因として、核家族化が進んだことも挙げられています。以前は祖父母や親戚、地域の人など多くの人が関わって育児をしているという状況がありました。それが、核家族が進んだことで周りに頼れる存在がいなくなり、必然的に子育ては親のみで行うという状況が生まれてきました。・パートナーの非協力的な姿勢パートナー(ここでは夫)の子育てへの非協力的な姿勢もワンオペ育児の要因と考えられています。令和4年に内閣府男女共同参画局がまとめた資料によると、家事育児の男女の負担割合は男性3:女性7となっており、家事育児の負担が女性に偏っている現状がみられます。また、内閣府が実施した令和4年度男女共同参画社会に関する世論調査では、育児について、自分と配偶者でどのように分担したいと思うか聞いたところ、約70%の男性が 「育児は自分と配偶者で半分ずつ分担」と回答した一方で、「配偶者のほうが自分より育児を多く分担」と回答した男性が約20%いました。加えて、子どもがいる夫婦が離婚して母親が親権を持つケースや、未婚のシングルマザーとして母親が一人で育児を行う場合もあります。こういった、男性が育児に関わる時間の短さや、一部の男性の子育てへの非協力的な姿勢などが、母親のワンオペ育児につながっているとも考えられます。・困り事をひとりで抱え込んでしまうなどの性格傾向親自身の性格傾向にもワンオペ育児で悩んでしまう要因があると言われています。不安が強かったり、周りの人に相談できずに抱え込んでしまう傾向がある方は、育児の孤独感や子育てに対して否定的な考えを抱きやすいという調査もあります。もちろんワンオペ育児の困り事は状況により生じることが多いですが、ワンオペ育児を担っている方の性格によっては悩みが深いものになる可能性もあります。参考:イクメンプロジェクト|厚生労働省参考:加藤 承彦、越智 真奈美、可知 悠子、須藤 茉衣子、大塚 美耶子、竹原 健二著「父親の育児参加が母親,子ども,父親自身に与える影響に関する文献レビュー」『日本公衆衛生雑誌』69巻(2022)5号 p.321-337参考:令和4年度男女共同参画社会に関する世論調査|内閣府参考:コラム1 生活時間の国際比較 | 内閣府男女共同参画局参考:三谷 はるよ著「育児期の孤独感を軽減するサポート・ネットワークとは」『家族社会学研究』32 巻 (2020) 1 号 P.1-2発達の気になる子どものワンオペ育児……こだわりや癇癪、どう対応する?医師Q&Aここでは、発達が気になる子どものワンオペ育児に関するさまざまなギモンについて、小児科医の室伏佑香先生に伺います。(質問)日々のルーティンを回すのが大変で、子どもとの過ごし方がマンネリになりがちです。刺激が少ないと発達に影響がありますか?(回答)ワンオペ育児をする保護者の負担は非常に大きいと考えられます。そのため、余裕がなく遊びなどもワンパターンになることもあるでしょう。しかし、子どもは日々の暮らしのいろんな場面で刺激を受けているので過度に心配する必要はありません。保護者がリラックスして接することで親子の関係も良くなり、結果的に子どもの健やかな成長にもつながるでしょう。悩みすぎずに適度に肩の力を抜くことも大切です。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どものこだわりや癇癪に付き合って家事が進まず、ストレスになってしまいます。どうしたらうまくいくでしょうか?(回答)ワンオペ育児の最中にお子さんのこだわりや癇癪の対応に追われて、家事が全然進まないということもあると思います。そのような場合は、「今はそういう時期」と割り切ることも一つの方法です。家事を完ぺきにこなそうとすると、できなかったときに大きなストレスを感じることもあります。ある程度思うように進まなくても仕方ないと割り切ることも大切です。今は便利な家電や宅配サービスなど家事を楽にする製品やサービスがいくつもありますので、活用していくことも検討してみてはいかがでしょうか?状況をパートナーと共有し、食事は買ってきてもらうなど協力しながら進めていくようにしましょう。Upload By 発達障害のキホン(質問)ワンオペ育児が大変で、ついついテレビや動画に頼ってしまいます。見せすぎると発達によくない影響がありますか?(回答)乳幼児期の子どものテレビ・DVDの視聴時間と発達の関係を調べた調査では、視聴時間が長くなればなるほど、1~2歳ではコミュニケーション能力、2~3歳では粗大運動、微細運動、社会性などの発達に影響が出るとされています。また、日本小児科医会は「2歳までのテレビ・ビデオ視聴は控える」、「1日2時間までを目安とする」と提言しています。ただし、テレビや動画を全く見せてはいけない……と保護者の方が必要以上にストレスを感じてしまうことはありません。実際に、上に示した調査結果でも、1歳時点でテレビや動画を全く見せていない家庭は1割程度、2歳以上ではほとんどありませんでした。小さいお子さんがテレビや動画を見るときは、「できるだけ親子で一緒に楽しむ・質の良い内容のものを選ぶ・長時間見せない」といったことに気をつけながら、上手にメディアと付き合っていくとよいでしょう。また、負担のない範囲で外遊びや読み聞かせの時間をつくるようにするのも、物理的にテレビや動画と距離を置くことができ、お子さんの興味をテレビや動画からそらすことができるのでおすすめです。Upload By 発達障害のキホン参考:乳幼児期の子どものテレビ・DVD の視聴時間と発達の関連が明らかに|千葉大学参考:「子どもとメディア」の問題に対する提言|社団法人日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会ワンオペ育児で限界に追いつめられないために……解決策や相談先はある?ワンオペ育児を続けることで、心身の健康に悪影響が出ることが懸念されています。ここでは、ワンオペ育児の負担を軽減させるための方法をいくつか紹介していきます。・パートナーと解決策を話し合うワンオペ育児になっている場合に、パートナーと解決策を話し合っていくことが大事です。といっても、パートナーは仕事などによりその状況をよく把握していないことも考えられます。まずは、時間を取って現在どのようなことでつらい思いをしているかをパートナーに伝えて、家事や育児の役割分担、次にあげるさまざまなサービスの活用などを話し合っていくといいでしょう。・さまざまな支援サービスを利用するワンオペ育児をはじめとして子育ての負担を軽減させるためのサービスがあります。公的なものでは自治体が運営をする「ファミリー・サポート」サービスがあり、保育園などへの子どもの送迎や一時的な預かりなどを実施しています。ほかにも、民間では家事代行サービスや一時預かりサービスなどがあります。うまく活用して、負担を減らしていくようにするといいでしょう。参考:ファミリー・サポート・センター事業|東京都福祉局・地域子育て支援センターなどの保健師やカウンセラーに育児相談してみる各地域には、主に未就学の子どもたちや保護者同士の交流ができる子育て支援センターが設置されています。センターには子育ての専門家がいて、ワンオペ育児に関する相談をすることも可能です。また、ほかの保護者と話すことによって、つらさに共感してもらったり、アドバイスがもらえたりすることもあるでしょう。・ワンオペ育児からうつ病などの精神疾患になった場合ワンオペ育児のストレスからうつ病などを発症すると、子育てに対する意欲が低下したり、感情的な対応が増えたりして、保護者がつらいのみならず子どもの発達にも多大な影響を与えることが考えられます。また、保護者の感情的な対応がエスカレートすることで、子どもへの不適切な関わりにもつながりかねません。そうならないためにも、上に挙げた対策を取るとともに、早めに悩みを相談することが大切です。子育てに関する相談窓口はたくさんあり、電話、SNS、メールなどさまざまな方法で相談が可能です。東京都の窓口を掲載しますが、各自治体にも同様なWEBサイトがあると思いますので、つらいと感じたときは早めに相談するようにしましょう。参考:相談窓口|東京都こども子育て相談窓口また、子どもの発達が気になる場合は専門機関に相談することも重要です。子どもに発達上の特性があるときは、その特性に応じた対応をすることが大切ですが、ワンオペ育児をしている中で一人で適切に対応することは難しいと言えるでしょう。そこで、専門家の力を借りて、発達の気になる子どもの特性の把握や対応方法のアドバイスなどを受けることで、子育ての大変さを減らしていくことにもつながっていきます。発達の気になる子どもの相談先としては、・発達障害者支援センター・児童相談所・保健センター・かかりつけの小児科などがあります。相談しやすい場所から問い合わせてみるといいでしょう。まとめワンオペ育児は保護者の一人が育児の大部分を担うことで、孤独感などから保護者の心身に悪影響が出る可能性も指摘されています。ワンオペ育児は社会的な背景や家庭の事情もあり仕方がない部分もありますが、できるだけパートナーと役割分担することや、公的、民間の家事や子育てサービスを活用することで負担を軽減させていくことも大切です。また、子どもに発達の遅れや、発達の凸凹がある場合は、こだわりが強かったり癇癪が激しかったりと、一人での対応がより難しくなることも考えられます。子どもの状態によっては、療育手帳や通所受給者証を取得して、さまざまな福祉サービスを利用できる可能性があります。福祉サービスには、子どもの特性に合わせた支援が受けられる通所支援のほか、レスパイトと呼ばれる一時預かりやショートステイなどのサービスもあります。詳しくは、自治体の障害福祉窓口にご相談ください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月29日今回は、物語をもとにしたクイズを紹介します!クイズの解答を考えてみてくださいね。原因不明のまま開頭手術されそうになった話謎の頭痛と手の痺れに悩まされていた主人公は、かかりつけの小児科に紹介してもらった脳神経外科に行くことに。しかし紹介された医師は病気で休養しており、その息子が院長代理を務めていました。原因わからないまま半年が過ぎ、やがて病気が進行して半身が麻痺し始めた主人公。すると医師は、腫瘍の場所はわからないが、とりあえず開頭手術をすると言い出したのです。医師の判断に不安を感じた一家は、再びかかりつけの小児科へ。小児科の医師経由で休養中の院長に連絡を取り、状況を説明したのです。手術は中止出典:Grapps『急きょ手術は中止にします』と院長の指示で開頭手術は中止が決まり…。まだ体調が万全ではない院長は、診療はできないものの、MRIの結果を見てくれました。ここでクイズ命に関わるとのことで、手術が中止になった主人公。この後、「えっ」と一同が唖然とした医者の発言とは?ヒント!経験豊富な院長は、MRIを見てすぐに院長代理の医師には難しいと判断した様子で…。腫瘍は出典:Grapps正解は…正解は「脳の中心に腫瘍がある」でした。まさかの脳の中心に腫瘍があると言われ、驚く主人公一家と院長代理の医師。その後、院長はすぐに大きな病院への紹介状を書いてくれたのでした。原作者:エトラちゃんは見た!※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。※こちらのお話は体験談をもとに作成しています。(Grapps編集部)
2024年01月27日今回は、人気のマンガをクイズ形式で紹介します!マンガのストーリーがどんな結末になるか考えてみてくださいね。イラスト:ちゃい理不尽な夫に医者が反撃!主人公が妊娠中、つわりで動けなかった日のことです。長男が熱を出してしまい、夫に小児科に連れていってもらいました。夫から電話が…出典:CoordiSnapすると医者からの問診に答えられなかった夫から電話が…。挙句の果てには「お前がちゃんと見てないから熱出すんだろ!」と逆ギレする始末。問題さあ、ここで問題です。この様子を見ていた医者は、夫になんと言ったでしょう?ヒント正論をぶつけました。みなさんは答えがわかりましたか?正解は…出典:CoordiSnap正解は「ちゃんと見てないのはお父さんじゃないですか?」でした。正論を言われ「家のことは妻に任せてる」と言い訳をする夫に…。医者から追撃の一言が放たれるのでした。※こちらは実際に募集したエピソードをもとに記事化しています。(CoordiSnap編集部)
2024年01月27日行き慣れていない場所が苦手な、知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)の息子現在12歳の息子は、3歳の時に知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断されています。機嫌が良くても悪くても言葉にならない奇声を発していることが多いです。マイペースな息子ですが臆病な面があり、賑やかであったり行き慣れていない場所が苦手。ですから、普段病気になったときは、息子が行き慣れているかかりつけの小児科にかかっています。慣れているとはいっても、病院へ行く前には病院の外観や待合室の写真を見せながら、口頭で病院へ行くことを説明してから行くようにしています。そして、可能なら大人2名で連れていき、診察が終わったら、大人は子どもを連れてすぐ帰る人、会計を済ませる人に分かれるなど、オペレーションにも心を砕いていました。Upload By ユーザー体験談現在、かかりつけの小児科は先生の都合で一時閉院中。なるべく息子が病気にならないように注意していたのですが、先日、息子が急に高熱を出したのです。もしかしてインフルエンザ?でもかかりつけ医はお休み……どうする?学校ではインフルエンザが流行っていたため、真っ先にインフルエンザを疑った私。検査をしなければと思うも、ただでさえ鼻の中を診られるのが苦手な息子が、行ったことがない病院でインフルエンザの検査となったら、大騒ぎ必至です。どうすればいいか悩みましたが、家で診てもらうのが一番良さそうだと思い、初めて往診を頼んでみることにしました。息子は高熱のためとてもつらそうで、トイレ以外で立ち上がることさえできません。私は(インフルエンザ検査で陽性となれば、抗インフルエンザ薬を処方してもらえるから、それを飲めれば少しは楽になるかな……)と心配しながら息子の看病をしていました。検査の結果、もしインフルエンザでなければ、解熱さえすれば登校できます。実はその週末は学校の学習発表会でした。できたら参加させてやりたいと思っていたので、私としては息子がインフルエンザ検査をすることは欠かせないことだったのです。ですが……。検査を嫌がり家中を逃げ回る息子!それを追いかける母……やがて医師が到着したので私は部屋に案内しました。息子は初めて会う医師に警戒している様子でした。医師は慣れた様子で「この時期の高熱ですから、インフルエンザかもしれませんね」とすぐ検査の用意を始めてくれました。すると、その瞬間、息子は検査をされると察したようで(ものすごい洞察力!)、いきなり立ち上がり逃げ出したのです!先ほどまで立ち上がることすらできずぐったりしていたのに……!(えぇ!?)と私はその素早い動きにびっくりしつつも、息子を追いかけました。私一人ではまったく連れ戻すことができません。息子は家中を逃げ回りました。普段は狭く感じる家が、この時はやけに広く感じました……。Upload By ユーザー体験談医師はそんな私たちの様子を見て、これは無理だと思ったのでしょう。「お母さん、検査は諦めましょう」と言い、ただ息子の熱が高いこと、周りではやっていることから「見なし陽性」と解熱剤などを処方してくれました。ただし、検査はできていないので、当然抗インフルエンザ薬は処方してもらえませんでした。Upload By ユーザー体験談私としては、息子にはなんとしても検査を受けてもらいたかったので、がっくり。抗インフルエンザ薬を処方してもらえなかった……、もし解熱したとしてもインフルエンザかもしれないことを考えて学習発表会は欠席しなければ……と。医師が帰ると、息子はさっとベッドに戻り横になりました。その様子を見て(具合が悪いのに、よくあそこでまで逃げ回れたね……本当に嫌だったんだね……)と思いました。抗インフルエンザ薬を飲まなかった息子はなかなか解熱せず……その後程なくして私も発熱、検査を受けたところインフルエンザと判明しました。おそらく息子もインフルエンザだったのでしょう。私は抗インフルエンザ薬を飲んだのでほどなく快方へ向かいましたが、薬を飲んでいない息子はなかなか解熱しませんでした。1週間以上、熱が上がったり下がったりしていたので、本人もとてもつらかったと思います。Upload By ユーザー体験談往診はとてもありがたいものですが、往診の先生はお一人でいらっしゃっしゃったので、検査時に嫌がる子どもの場合、その対応をする人手は病院のほうがあると改めて感じました(もちろん、病院にもよると思います)。このままだと、今後息子が病気や怪我をした時、「息子に抵抗されることを考えたら、これくらいなら受診しなくても大丈夫かな」と思ってしまいそうです……。高学年になり体も私より大きくなってきた息子。このままでは通院や検査はさらにハードルが高くなってしまいます。息子が落ち着いて受診できるように、なにか対策を講じなければと改めて思わされた出来事でした。イラスト/keikoエピソード参考/あきこ(監修:藤井先生)普段のかかりつけ医院に受診されるときには、写真を用いて見通しを持った声かけをされていたのですね。見通しを持てることで落ち着く場合には、その対応をされるのが良いと思います。中には、病院の写真を見るだけで嫌がるお子さんもいるので、お子さんのタイプにもよります。私の勤めているクリニックでは、お子さんには嘘はつかず、見通しを伝えます。診察に不安な様子が伺える場合には、写真、絵カードなどで示してから診察や検査を行うこともあります。それでも、不安の全てを解消することは難しいのですが、不安がありながらも診察を受けてくれたことを労い、褒めることを繰り返し行なっています。以前までは、血液検査や注射で大暴れであったお子さんも、だんだんと診察が受けられるように成長する姿もみられます。病院の先生、スタッフの方と協力しながら、落ち着いて受診できる工夫を講じることをお勧めします。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月24日子どもが5歳のころのこと。夜中に突然泣き出したため、慌てて夜間の当番病院に連れて行きました。当直の先生に診察してもらったものの、結局、病名はわからないまま帰宅。風邪だろうと思いつつ、念のためかかりつけの小児科で診てもらおうと翌日受診しました。しかし、思いもよらぬ診断を受けたのです――。 衝撃の診断結果夜間の病院で診てもらったものの、念のためかかりつけの小児科で診てもらおうと翌日受診しました。咳や鼻水がひどいわけでもなく、熱も37.5度だったので軽い風邪とか気管支炎かな?と思っていたのですが……。先生から「レントゲンを撮りましょう」と言われて検査した、その結果……。 なんと「肺炎」ということが判明! 薬をもらって帰るつもりでしたが、「紹介状を書くから大きい病院を受診するように」と言われ、そこまでひどい状態だったことにさらに驚きました。 子どもはその日の午後から大きな病院で5日間入院することに。目に見える症状があまりなく、元気にしていたのでまさかこんなことになるとは……。元気だと思っても素人の判断は危険。念のため病院を受診することの大切さを知った出来事でした。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/海乃けだま監修/助産師 松田玲子著者:龍﨑 麗華
2024年01月23日「白いもの」以外の食べ物……ならば、大好きなピンク⁉娘の偏食っぷりはひどくて、食事は基本「白いもの」。白米、豆腐、牛乳、ヨーグルト、チーズ、バナナは喜んで食べてくれますが、それ以外のものは、なかなか食べてはくれません。3歳の時に、便秘気味で小児科に受診した際、お医者さんから「しばらく玄米にしてください」と言われてしまいました。家に帰った娘は「みーちゃんは、はくまいしじょーしゅぎなの」と泣き続け、ハンガーストライキ。「白米至上主義」なんて言葉、いったいどこで覚えたんだか⁉ホントに夕飯は食べてくれず、翌日少しぐったりしている娘を連れて小児科に再受診したら、「子どもはおなかがすけばなにか食べます」とお医者さんに強くいわれたので、ひきつづき玄米をあげて様子見。しかし、結局「おなかちゅいたよぉ~ひもじいよぉ~」と泣きながらミルクだけで過ごしていたので、私が根負けして、白米を出してしまったこともありました。食べるものは白いものが好きですが、娘はピンクが大好きで、当時の服装は、ピンク色のものばかり。そこで、「ピンクならば食べるのではないか?」と、料理がピンクになる食べ物をあれこれと試してみたところ、ビーツ(大根のようなもの)には興味を持ってくれたのです。幸い、ビーツは「食べる輸血」といわれるほど栄養価が高いので、以来、ビーツはわが家でよく利用する食材の1つとなりました。今回は、娘が喜んで食べてくれて、しかも作るのもお手伝いできる時短レシピ「簡単ボルシチ」をご紹介します。感覚過敏の子どもが作れる&食べられる「簡単ボルシチ」●材料(大人2人分よりは少な目の、大人1人+子ども1人分)・牛肉100g・ビーツ(水煮されているもの小さめ2つ)・キャベツ・白菜・ほうれん草などの葉ものどれかを2~3枚・人参1/2本・玉ねぎ1/4個・ジャガイモ1個・お湯300ml・コンソメキューブ1個・塩少々【その他あると良い食材】・ニンニク少々・トマト1個、あるいはトマトの水煮大人だけだとニンニクも入れるとおいしいのですが、子どもも一緒に食べるので、ニンニクはなしでつくっています。入れたい方は、ニンニクを少々入れるともっとおいしくなります。娘はトマトが嫌いなので、トマトを使っていませんが、トマトやトマトの水煮を入れるともっとおいしくなります。水煮を入れる場合には、お湯の量を半分くらいにして、水分量が全部で300mlくらいになるように調節してください。保育園から帰宅してからスタート!30分で仕上げます!Upload By 秋山ゆかりUpload By 秋山ゆかりちょきちょきひたすら切ってもらいます。スープで煮込んでしまうので、わが家はバランスを考えて、しいたけなどのキノコ類を入れることも多いです(娘は絶対にキノコは口には入れませんが……)。仕上げにサワークリームやパセリをトッピングするとさらにおいしくなりますが、わが家は娘が偏食のため、サワークリームもパセリもなしのことが多いです。Upload By 秋山ゆかり1、水煮のビーツを使うこと。すでに柔らかいため、長時間の火入れが不要です。また、生から煮るよりもあくが抜けているため、味覚が敏感な子にも少しは優しい味のようです。2、小さめのサイズに切ること。火入れの時間が短くてすみます。ジャガイモは、洗って皮つきのままラップしてレンチンしておくと、火入れの時間が短くてすみます(うちは娘が電子レンジ調理のものを一切食べないので、この手が使えませんが……)。試行錯誤の末、水煮のビーツが定番に!最初娘のお手伝いは、はさみでチョキチョキと切ることでしたたが、すぐに大人の真似をしたがったため、子ども用の包丁を持って切るのを手伝ってくれるようになりました。最初は、手を切ってしまうのじゃないかとドキドキで、「自分でやったほうが早く終わるのに!」と思ったことも何度もありますが、「これは私の忍耐をつける修行だ!」「それよりも、この子が食に興味を持ってくれることの方が大事だっ!」と思い、ぐっとこらえていました。そのうち、ちゃんとできるようになるのですから、子どもの成長力たるやたくましいです。初めてお手伝いしてくれたボルシチは、「お手伝いをした!」という気持ちが強かったからか、あるいは、ジャガイモの味が安心だったのか、「みーちゃん、ごはんじょーじゅー」といいながら、半分近く食べてくれました。私は、娘が白ではない色付きのスープを食べていることに興奮しました(笑)。2回目につくったときは、生のビーツを使ったためか、薄切りにしてあったけれども、ほとんど食べてくれず……。あくが強かったのかもしれません。3回目は、ビーツパウダーを使ったのですが、コクがうまく出ず、味がぼやけていたこともあってか、娘は「うしゅーいピンク。ちょっとちがーう」といって、手をつけませんでした。Upload By 秋山ゆかり4回目以降は、水煮のビーツをスーパーで買うようになり、あくもそれほど強くなく、おいしくできあがったので、娘も「ピンクー、ピンクー」と喜んで食べてくれるようになり、わが家の定番となりました。ビーツといえば、この他にも、ビーツを使ったニョッキやサラダなど、いろいろとつくってきました。ニョッキは、ジャガイモをつぶしたものに、ほんの少しビーツの粉を混ぜ込んでつくって、白とピンクにして、ホワイトソースをかけて食べるのが一時ブームになりました。Upload By 秋山ゆかりほうれん草の粉も残っていたので、それを混ぜた緑バージョンや、カボチャの粉を入れた黄色バージョンもつくってみましたが、それらは食べてくれませんでした(涙)。なかなか手ごわいですね。よろしければ皆さんもお試しください!執筆/秋山ゆかり(監修:井上先生より)感覚過敏とこだわりは互いに関連することも多いです。秋山さんのようにお子さんと一緒に料理をつくることで、料理に入っている食材が何なのかも分かり、食べれるようになったお子さんもいらっしゃいます。また料理自体が楽しくなると食事も食べやすくなると思います。お子さんのリクエストを材料や調理方法に反映させていらっしゃるところはとてもすばらしいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月20日入園入学前のリズムづくりにも最適『のうとからだにいいことえほん』書影株式会社PHP 研究所(京都市南区・代表取締役社長 瀬津要)は、2024年1月20日に『のうとからだにいいことえほん』(成田奈緒子 作・しごくん 絵/1650円)を発売します。春の入園入学や進級を控え、楽しみと同時に不安を感じることも多い季節になりました。小児科医であり、発達脳科学者でもある成田奈緒子さんは、乳幼児期から小学校低学年の子どもにとって最も大切なのは、「脳の土台」を作ることだと提唱します。本書は、科学的に正しい「脳の鍛え方」を、朝起きてから夜寝るまでの行動に落とし込んで紹介する、著者にとって初の絵本です。脳育ての基本は「生活習慣を整えること」脳の土台を作る「脳育て」のポイントは生活習慣にあり、それは勉強やスポーツへの取り組みにも影響します。基本は、「朝は早起きする」「同じ時間に3度のごはんを食べる」といった「正しい生活」を繰り返し、定着させることです。本書では、「なぜそれが良いのか」その理由についても、小児脳科学者である著者がワンポイントで解説しています。一緒に読むことで家庭での生活習慣の見直しに「朝は7時までに起きるのだ!」「うんちは朝に済ませるのだ!」など、思わず「おー!」と拳を突き上げたくなるパワフルな呼びかけは、読み聞かせにもぴったりです。起床、食事、排泄、運動、整理整頓などの身近なシチュエーションは、ユーモラスなイラストで子どもにも分かりやすくしました。親子そろってゲーム感覚で実践したくなる内容は、入園入学や進級など、新年度に向け生活習慣の見直しをしたいご家庭に最適です。【脳を育てる生活習慣と科学的根拠】●朝は7時までに起きるのだ!→子どもの脳に昼行性を組み込むため。●朝ご飯は絶対に食べるのだ!→昼間の脳の活動エネルギーは朝食から供給されるため。●うんちは朝に済ませるのだ!→しっかり睡眠と朝食をとり、活動前に排便が促されるのが昼行性の動物の自然の姿。学校で便を我慢して便秘になることも防ぐ。●しっかりおなかを空かせるのだ!→食事は、匂いや温度など「五感」すべてを刺激する、脳の発達のために大切な時間。食事の前の空腹感が、食べることを「快」と感じられるように。●歩ける距離なら歩くのだ!→外でしっかり歩き筋肉を鍛えることで自律神経が整う。本文より<Point>わかりやすいシチュエーションとイラストが子どもにも理解しやすい。本文より<Point>育児書としても活用できる成田さんの解説付き。子どもの「なぜ?」にも答えられる。『のうとからだにいいことえほん』について著者作/成田奈緒子(なりた・なおこ)発達脳科学者。小児科医・医学博士。公認心理師。2014年より子育て科学アクシス代表、2009年より文教大学教育学部教授。1987年神戸大学卒業後、米国セントルイスワシントン大学医学部や筑波大学基礎医学系で分子生物学・発生学・解剖学・脳科学の研究を行う。臨床医、研究者としての活動も続けながら、医療、心理、教育、福祉を融合した新しい子育て理論を展開している。著書に『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春出版社)、『高学歴親という病』(講談社)、『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』(共著/講談社)。監修に『子どもにいいこと大全』(主婦の友社)など多数。絵/しごくんイラストレーター。1977年生まれ、東京在住。雑誌「POPEYE」(マガジンハウス)、書籍『失敗図鑑』(大野正人著/文響社)、絵本『ごろうのおみせ』(ごろう作/岩崎書店)、NHK総合「おやすみ日本」他、書籍、雑誌をはじめTV、webなど様々な媒体でイラストや漫画を手がける。著書に漫画『I My モコちゃん』(玄光社)。絵本『ぽんちうた』(ブロンズ新社)。書誌情報タイトル:のうとからだにいいことえほん著者:成田奈緒子 作/しごくん 絵定価:1,650円(10%税込)発売日:2024年1月20日判型:B5判変型上製ページ数:56頁ISBN:978-4-569-88150-8発行:株式会社PHP研究所のうとからだにいいことえほん | 成田 奈緒子作 しごくん絵 | 書籍 | PHP研究所 : 好評発売中書名:子育てを変えれば脳が変わる こうすれば脳は健康に発達する著者:成田奈緒子定価:1,100円(10%税込)発売日:発売日:2024年1月17日判型製本:新書判並製内容:子育ては「脳が育つ順番」に沿って行えば、うまくいく!お金も手間もかけずに「心が折れない子、学びが好きな子」になる育て方。子育てを変えれば脳が変わる | 成田 奈緒子著 | 書籍 | PHP研究所 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2024年01月19日夏の旅行は、毎年子どもたちの行きたいところと決めているわが家。この年は、次男が大好きな水族館に行ったのですが……まさかの事態に! せっかくの旅行中に次男が想像もしなかったケガをしてしまった体験談をお話しします。(※コロナ禍前のお話です) 翌朝、まさかの事態に!「ママ、大変! ○○(次男)の足が!」。長男にそう言われて見てみると、なんと次男の足の親指の爪がありませんでした。昨日は元気に歩いていたのに何があったのかと聞いてみると、「自分でやった」とのこと。生爪を剥いだと聞いて、そういうものが苦手な私はもう血の気が引きました。 急いで近くのドラッグストアに行き、消毒と剥がれにくいばんそうこうを購入。出血はなく、ピンク色の肉が見えている状態の足の親指にばんそうこうを巻きました。本人が痛がらないので、病院へは行かず様子を見てみることに。それでも歩かせると出血したり痛みが出たりするのではと思い、前日とは打って変わって次男は常に抱っこで移動。いろいろ観光する予定でしたが、チェックイン時間すぐにホテルに入るしかありませんでした。 病院に行ってみると…旅行から帰り、小児科に行くと「サッカーをやっている子どもは、爪が剥がれやすくなってしまうことがよくあるんです」と言われました。次男はまだサッカーを始めてはいませんでしたが、長男と一緒にボールを蹴ったりしていました。ということは、旅行に行く前から前兆があったのでは……。私がもう少しきちんと次男の爪をチェックしておくべきだったと反省。せっかく楽しみにしていた旅行中にケガをさせてしまったこともショックでした。 その後、爪は無事元の状態に戻ったのですが、次男は爪を剥くのが癖になってしまったようで、テレビなどを見ながら剥いてしまうことも! 子どもの爪は伸びるのが早いので、伸びすぎる前に切ることと、足もすぐに大きくなるので靴に爪が当たらないよう靴のサイズも注意してみなければと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師 松田玲子イラストレーター/みいの ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~6歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日になりますように! 著者:田丸あかね現在、小学校1年生と幼稚園年中の兄弟を子育て中。性格の違う子どもたちの成長を楽しみつつ、自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2024年01月17日「経過観察」ではなく具体的なアドバイスを!多職種連携の現場から26年以上、小児科医としてお子さんたちを診てきた本田真美(ほんだまなみ)先生。医療はもちろん、教育や福祉・行政などのさまざまな分野の専門家が互いに協力し合う多職種連携の推進を目指し、クリニックの院長として、「日本小児診療多職種研究会」の理事として取り組まれています。――2016年に開院された「みくりキッズくりにっく(東京都世田谷区)」では、まさに多職種連携を実践されていますね。本田先生:そうですね。「子どもの専門家集団」を掲げ、医師と看護師、事務のほか、保健師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、公認心理師、保育士、幼稚園教諭、音楽療法士、管理栄養士、児童支援員という計13職種、70人以上の専門家 が在籍しています。――発達・小児神経外来とは別に、「発達サポート外来」を設置されていますが、どのような診療をされているのでしょうか。本田先生:専門の療法士が、心理療法、理学療法、作業療法、言語療法の面からアセスメントを行い、お子さんに合わせたプログラムを提供しています。発達障害や脳性まひ、染色体異常などのお子さんが多いですね。毎月1日~5日に翌月の初診予約を受け付けていて月に30人ほどの初診のお子さんを診ていますが、希望者はその4~5倍もいるのが現状です。私たちは、お子さんや保護者の方の困りごとに対して「もう少し様子を見ましょう」という経過観察ではなく、具体的で分かりやすいアドバイスをすること、保護者の方がご家庭で安心してお子さんに向き合えるようサポートすることを心がけています。よく、個性か障害か……という話がありますが、キーワードになるのが社会適応力だと思います。となると、医療だけでは限界があって、発達が気になるお子さんやその家族を支えるのは、「医療」「教育」「福祉・行政」のトライアングルだということです。診断がついたり、薬を処方されたりすれば解決するわけではないということですね。だから私は、医療での多職種連携はもちろんのこと、担当領域に縛られることなく「さまざまな分野の専門家が互いに協力し合うこと」を目指しているのです。Upload By 発達ナビ編集部情報過多で保護者の方が大変な時代だからこそ――日々、発達が気になるお子さんの保護者の方から話を聞いていて、どのようなことを感じられていますか。本田先生:情報過多の時代だからこそ、目につきやすい子育てのマニュアルや療育法に頼りすぎてしまう傾向があるように思います。例えば、「発達障害のチェックリストには当てはまらないけど、園の先生に受診をすすめられたから」と来院される方がいます。そこで、例えば「トイトレが進まない」「夜眠れない」「毎日のルーティン」といったお子さんのエピソードをもとに詳しくお聞きしてみると、お子さんの発達の特性が見えてきて、アドバイスをすることができます。――インターネットで調べたりチェックリストを試してみたりすることで、逆にお子さんの特性が見えにくくなってしまうこともあるのですね。本田先生:そうですね。そして、すべてのお子さんに共通した正解があるわけではないので、「わが子が困っている背景や原因」を知り、「わが子に合うもの」を選択することが大切ですよね。ただ、保護者の方が自分で見つけるのは難しくなっているように思います。だからこそ、専門職である一人ひとりが広い視野と経験や知識をもとに多くの手札を持ち、お子さんに向き合う必要があると考えています。お子さん自身が「ヘルプを出せる」「交渉できる」ように――保護者の方には、お子さんとの関わりについてどのようなお話をされていますか。本田先生:お子さんが「ヘルプコール」と「交渉力」を身につけられるようにしましょうということでしょうか。まずは就学までに、「助けて」「やりたくない」と言えるように。そうすれば、嫌なときに暴れたり癇癪を起したりしなくても良くなり、お子さん自身が楽になるでしょう。当院でも、就学までのプログラムを大事にしています。就学後はさらに進んで、「交渉術」を学んでほしいと思います。例えば、学校での合理的配慮。もちろん学校の先生と保護者の方を中心に話し合いをされると思いますが、小学校高学年ぐらいになったらお子さん自身が自分に必要なもの・不要なものを意思表示できると、ミスマッチを防ぎやすくなりますね。これは、服薬にも当てはまります。医師が処方した薬を、保護者の方がお子さんに飲ませることが多いと思いますが、いずれはお子さん自身が用法容量の範囲内で「この薬は、この量だと調子が良いから飲みたい」と言えるように練習していってほしいのです。――お子さんのために、意思表示できる力を育むことが重要なのですね。子どもに関わるすべての人へ「第10回日本小児診療多職種研究会」1/22(月)正午まで参加登録受付中Upload By 発達ナビ編集部――日本小児診療多職種研究会の役割や、本田先生が会頭を務める「第10回日本小児診療多職種研究会」の見どころについて教えてください。本田先生:特に発達障害の領域において、ずいぶん前に医師ができることの限界を迎えていると思います。だからこそ、医療がトップにいて教育や福祉がそのサポートということではなく、お互いにリスペクトし合い同じ立ち位置でお子さんをみていくことが必要です。「日本小児診療多職種研究会」は、多職種が一斉に集い、同じ立場で意見交換できる唯一無二の研究会だと自負しています。私が会頭を務める「第10回日本小児診療多職種研究会」は、私自身が話を聞きたい皆さんにお声がけし、快諾いただき実現したものです。お子さんの障害や年齢、取り扱う課題が幅広く、お子さんに関わっている方々へヒントや視野を広げるチャンスをお届けできるはずです。「もっと知りたい!」という好奇心のある方は、あまり気負わずに参加してもらえたらうれしいですね。――ありがとうございました。会期2024年2月10日(土)~2月11日(日)プログラム(一部)・小児在宅医療における多職種の無限∞力・発達障害児の乳児期の発達特徴と早期介入・新生児から療育にわたる多職種連携ケアへの挑戦・構音訓練セミナー、感覚統合セミナー、エコーセミナー・ワークショップ「医療的ケア児のためのホスピタル・プレイセラピューテックな遊び、マイスヌーズレンを作ろう」・教育シンポジウム「こどもたちに伝えたい『自分のモノサシ』と おとなたちに伝えたい 『評価のモノサシ』」参加登録期間2023年9月25日(月)12時~2024年1月22日(月)12時※ボタンをクリックすると発達ナビのWebサイトから「第10回日本小児診療多職種研究会」のWebサイトに遷移します1998年東京慈恵会医科大学卒。国立成育医療センター(現国立成育医療研究センター)や都立多摩療育園(現都立府中療育センター)、都立東部療育センターなどを経て2016年に「みくりキッズくりにっく」を開院。日本小児科学会専門医、日本小児神経学会小児神経専門医など。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月12日株式会社PHP研究所(京都市南区・代表取締役社長 瀬津要)は、2024年1月17日に『子育てを変えれば脳が変わる――こうすれば脳は健康に発達する』(成田 奈緒子著/税込1,100円)を発売します。小児科医・医学博士・公認心理師の著者は、親子支援事業「子育て科学アクシス」を主宰しています。そこでの気がかりは、子どもの成長や発達の不安を訴える利用者の多くが早すぎる教育や多すぎる習い事など「脳が育つ順番に沿わない子育て」をしていることです。本書は、子どもの脳科学研究と臨床経験が導き出した、科学的に正しい「子どもの脳育て」のテキストです。「早寝早起きさえ習慣づけられれば、あとは楽」というシンプルなセオリーに基づいて、心が折れない子、学びが好きな子になる育て方を解説します。■脳育ての3段階を守れば、子どもはのびやかに成長する子どもの脳は、赤ちゃん期~幼児期(5歳ころ)の「からだの脳」、学童期(6~8歳)以降の「おりこうさんの脳」、10歳以降の「こころの脳」と、3つの段階を踏んで発達します。しかし、第一段階の「からだの脳」を育てる期間に詰め込み型・暗記型の教育がなされると、「致命的な脳の成長の遅れが出ることがある」と成田氏は述べます。子育てでは、第一に生命の維持に欠かせない機能を司る「からだの脳」をしっかり育て、その次に、計算や読解、意志伝達など司る「おりこうさんの脳」を、そして最後に他者を思いやる「こころの脳」を、という順に沿って育てることが、健康な脳の発達のためには大事だというのです。■「からだの脳」に生活リズムを沁み込ませる方法を紹介「からだの脳を育てるには、早起きをする、規則正しく食べる、早く寝るを、ひたすら毎日繰り返し、リズムを身体に沁み込ませることが大事」だとして、著者は「5歳までは夜8時に寝る生活を徹底する」「朝6時台を目標に起床時間を早めていく」「同じ時間に3度のごはんを食べるようにする」と、その方法を具体的に紹介します。またそのとき親にとって重要なのは、「家事は翌日の朝に回してでも早く寝るなどして、親も生活リズムを整えること」、そして「早くから子どもに勉強の類を身に付けさせたいという思いをぐっと我慢すること」だと著者は述べます。自身、ワンオペ育児で子どもを育てあげた著者の「この時期さえ乗り切れば、もう根性は要りません。子育ては、後になるほどラクで、楽しくなる」の言葉は、子を持つすべての親への応援メッセージとなっています。【本書でとりあげる脳育てのポイント】●5歳までは、11時間以上の睡眠が必要●早いうちからの習い事は必要ない●学童保育より「鍵っ子」がベター●「家族のルール」を決めて、必ず守らせる●「褒める」より「認める」■『子育てを変えれば脳が変わる』について【著者】成田 奈緒子(なりた・なおこ)小児科医・医学博士・公認心理師。子育て支援事業「子育て科学アクシス」代表。文教大学教育学部教授。1987年に神戸大学医学部を卒業後、米国ワシントン大学医学部や筑波大学基礎医学系で分子生物学・発生学・解剖学・脳科学の研究を行う。臨床医、研究者としての活動も続けながら、医療、心理、教育、福祉を融合した新しい子育て理論を展開している。著書に『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春新書インテリジェンス)、『高学歴親という病』(講談社+α新書)などがある。■書誌情報タイトル:子育てを変えれば脳が変わるサブタイトル:こうすれば脳は健康に発達する著者:成田 奈緒子定価:1,100円(税込)判型製本:新書判並製発売日:2024年1月17日ISBN:978-4-569-85617-9発売元:株式会社PHP研究所子育てを変えれば脳が変わる | 成田 奈緒子著 | 書籍 | PHP研究所 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2024年01月10日弟ふーが発熱。解熱後兄弟同じ寝室に寝かせたら、長男も発熱して急に寒くなった秋の日、弟のふーが鼻水を出し始めました。やがて発熱したふーは、1週間保育園を欠席しました。幸いにもインフルエンザではありませんでした。ふーの熱も下がり明日から保育園に行こうという日、それまで隔離していたふーを、いつものようにミミの隣で寝かせました。翌日のことです。ミミが体調不良を訴え、高熱が出てしまいました!私は(ふーからうつっちゃったのかな……?もう少し隔離しておけばよかった……?でもミミのクラスでもインフルエンザが大流行してるし、どこからうつったかは分からないな……)と思いつつも、二人連続の発熱にガックリ。落ち込みつつも、子どもがいるとこれもよくあることですので、すぐ切り替えてミミを看病をしていました。「弟のせいだ」と高熱で苦しみながらブツブツ言い続ける長男のミミUpload By taekoミミの熱は高く、とてもつらかったと思います。苦しそうに寝込みながらミミは「ふーちゃんのせいだ」とブツブツ。つらい原因を弟のせいにしていました。私は、「ふーからうつったとしたら仕方ないよね。でもミミは学校に行ってるから、学校でうつったかもしれないし、私からかもしれない。これは分からないよね」と言いました。それでも納得がいかないミミは「ふーちゃんのせいだ!」。つらいのは分かるので多少は仕方がないことかもしれませんが、ただただ弟を責め続けるミミの様子を私は悲しく感じていました。インフルエンザ検査を嫌がり「弟なんていなければ良かった」とまたマイナス発言。その言葉を聞いた先生は?ミミの熱が高いので、かかりつけの小児科でインフルエンザの検査をすることになりました。Upload By taeko先生は手袋をはめ「お母さん、押さえてて!」とただならぬ雰囲気。女性の職員さんも一緒にミミを押さえてくれました。一方、過去にやったインフルエンザ検査の痛みを思い出したようで、本気でもがくミミ……。4年生になったミミは力強く、私と職員さんでは押さえきれず、ミミは床にずり落ちたりと、もうすったもんだでした。そんなドタバタを越えて、ようやく検査できました。ミミは検査が痛いことや羽交締めにされたことなどが悲しくて、ここでも「ふーちゃんのせいだ、弟なんていなければ良かった」とマイナス発言……。私はどうしたものかと溜息です。するとそんな私に気づいた先生が、私に(いつもこうなの?)と言うように目くばせしてくれました。こちらの先生は、ミミが赤ちゃんの頃から診てくれているので、ミミのASDの特性をよく分かってくれています。私が「つらいことがあるとマイナス発言するんです」と伝えると、先生はなるほどと納得したようで、ミミにこう言ってくれました。「弟がいて良かったんだよ、1人より楽しいことが増えたと思うよ。あと、弟くんはインフルエンザじゃないから、もしインフルエンザだったら、きっと学校でもらってきたね」さらに「よく考えてごらん?まだ弟くんが赤ちゃんだった頃、まだ免疫も弱くて風邪の経験もない赤ちゃんは、きみからいっぱい風邪をもらっていたと思うよ。病気は上の子から下の子へうつるほうが多いんだ。むしろ、下の子から免疫がある上の子にはうつりづらい。つまり、きみの方が弟くんにうつした回数のほうがよっぽど多いはずだよ」と冷静に伝えてくれました。Upload By taekoミミはこの先生の発言に納得したようでした。反論することもなく、検査結果が出るまで大人しく待っていてくれました。私は個室でミミを抱きしめて待ちました。ミミの検査の結果は?ミミの検査の結果はズバリ、インフルエンザでした!ふーからうつったのではなく、おそらく学校でもらってきたのでしょう。そして、その後はふーへマイナス発言することはありませんでした。きっとミミは熱を出したとき「ふーからうつったに違いない」と思い込み(無理はない状況ではありましたが)、熱でつらい状況を自分だけで抱えられず、自分以外を責めることでなんとか堪えていたのかなと思いました。そして、先生から理路整然と説明された内容に納得し、それで弟へのマイナス発言が消えていったのでしょう。自分で違うと納得できれば、むやみに相手を責めたりしないようです。やがてミミも熱が下がり、食欲も戻りました。朝ごはんにベーコンを出したところ、ベーコン大好きなふーはミミにスリスリ頬ずりをして、ミミにおねだり。ミミはふーに自分のベーコンをひとつあげていました。優しいミミに戻って良かったです。今後もマイナス発言をすることがあると思いますが、悲しい気持ちを聞いた上で、お互いの良いところを伝え続けようと思いました。Upload By taeko執筆/taeko(監修:鈴木先生より)困ったことがあると他人のせいにしてしまうなど、自己中心的であったり、マイペースさといったものは、ASDのあるお子さんに見られることが多い傾向にあります。このような発言は、学校など今後ほかの場面でも見受けられるかもしれません。マイナスではなくプラス思考になるように見方を変えていく必要があります。それには当院でもやっていますが、感情(アンガー)コントロールプログラムの受講をお勧めしています。怒りを他人にぶつけるのではなく、自分の中で消火していく方法を学ぶのです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月09日こんにちは、3児のママで小児科医の保田典子です。生後半年をすぎると、赤ちゃんも活発に動くようになってきます。寝返り、ずりばい、ハイハイ、つたい歩き……じょうずに遊んで、赤ちゃんの発達を助けてあげられるといいですよね。今回は、ハイハイ時期のポイントをお伝えできたらと思います。ハイハイの良いところ一般的な発達の順番としては、首すわり→寝返り→ずりばい→ハイハイの順番で発達していきます。ずりばい、ハイハイの時期になると、手足を同時に使って動く、自分の体重を手足で支えるようになるなど運動能力や筋力が向上している必要があります。 ハイハイには①手で体重を支えて腕の筋力がアップする②手で地面をとらえるので手の感覚や握力の発達にも良い③両足を交互に動かすので、歩くための準備にもなる などいろいろな良いところがあります。また、ハイハイすることを含め、さまざまな運動をすることでケガの予防にもつながります。ずりばいやハイハイをするようになったら、ぜひたくさん運動をさせてあげたいですよね。 おすすめの遊びずりばいやハイハイをするようになったら、ぜひ広いところで遊ばせてどんどん動くようにしたいものです。公園で草の感覚を味あわせてあげるのもいいですし(晴れていて地面が乾いている場合)、児童館などで自由に動きつつ、他のお友だちを見せてあげるのもいいでしょう。 まだお友だちに興味を持つ、お友だちと遊ぶという時期ではありませんが、歩いているお友だちを見ると、歩きへの刺激にもなると思いますよ。 家でも、親が見ている間はケージを取りはらって、家の中を自由に探検させてあげるといいでしょう。赤ちゃんの後ろから声をかけてあげたり、ママやパパがいるところまで障害物(クッションなど)を置いてあげて、平地だけではない場所をハイハイさせてあげるのもいいでしょう。 気をつけるべき遊びは?ハイハイをし始める時期に使用を考えるのが、歩行器やベビージャンパーなどの育児グッズです。歩行器やベビージャンパーは喜ぶ赤ちゃんも多いため、ちょっと親の用事をしたいときなどすごく重宝するグッズです。 ただ、ハイハイの時期の赤ちゃんは、腰を曲げているのが自然な姿勢なのですが、歩行器などは赤ちゃんが立つ形になり、自然な体位よりは背骨がまっすぐになって、腰が反る形になります。そのため、この時期に無理に立った姿勢を長く続けることは、赤ちゃんの腰にも発達にも好ましくありません。「使ってはいけない」のではなく、長時間の使用は気をつけたほうがいいと思います。 ハイハイしなくても焦らないでハイハイをたくさんして、今後の運動能力向上につなげたいところですが、ハイハイをしない赤ちゃんもいます(私もハイハイをしなかったそうです!)。 ハイハイをしないで歩き始めてしまった赤ちゃんは、足腰がきちんと歩ける準備が整ったから歩けるようになったということなので、「歩くようになったけど、ハイハイをさせなければいけない」と思う必要はありません。 また、寝返りで動いちゃうのでハイハイしない、寝転んでばかりでハイハイしないという子も焦らなくて大丈夫です。心配であれば健診で発達の具合をみてもらいつつ、焦らずに楽しく動ける遊びをしていけたらいいのではないかと思います。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生
2024年01月06日子どもの問題が「母親のせい」にされる理由(写真はイメージです)新しい一年のはじまりですね。お正月はゆっくり休めたでしょうか。実家や義実家、親戚の家へ子どもたちを連れていったという人も多いでしょう。新年早々、お疲れモードの方もいるかもしれません。この時期によく聞くのが、祖父母や親戚からの遠慮のない言葉に落ち込んでしまって……という話です。親族や他人と集まると、子どもの成長・発達が早いとか遅いとか、内向的だとか外向的だとか、勉強やスポーツができるとかできないとか、そうしたことを言われることがあるかもしれません。本当に行儀が悪かったなど注意されるべきことなら指摘されても仕方がないですし、子どもに教え諭したり、親が一緒に謝ったりすればいいですが、個人の価値観で勝手な評価をされるのは困ります。「あなたが甘すぎるから(厳しすぎるから)」などと「母親のせい」のように言われることもあるでしょう。ひと昔前に母親だけが子育てをするのが当然と考えられていた時代があり、今でも子どもを母親の付属品かのように思っている人もいるのです。歴史を紐解くと、1950〜1970年頃には精神科医の間で「自閉症の原因は母親の冷淡な態度にある」とされていました。「冷蔵庫マザー」という言葉もあったほどで、自閉症児を育てる母親は罪悪感を植え付けられました。今では自閉症は生まれ持った特性であり、母親の態度によってなるものではないことがわかっています。その後も日本では1979年に小児科医で精神科医である久徳重盛氏が、子どもの病気や不登校などは母親のせいであるとして「母原病」という書籍を出しました。もちろん、これにも科学的根拠はありません。1990年には、小児科医の柳澤慧氏が母親が赤ちゃんに積極的に話しかけたりスキンシップを取ったりしないと、表情が乏しく泣かない子「サイレント・ベビー」になるといった根拠のない自説を広めたこともありました。現在、こうしたおかしな説は否定されていますが、それでもいまだに風潮として残っていて、だからこそ子どもに何かがあると母親のせいにされてしまいがちなのだと思います。そして何より母親自身が、子どもに何かがあると誰かに何かを言われなくても、つい自分のせいだと思ってしまうことがあるのです。「自分のせい」と思うのは愛情と責任感があるから風邪をひいたお子さんをクリニックに連れてくるお母さんが「風邪を“ひかせてしまいました”」と言うことは少なくありません。子どもが風邪をひくのは誰のせいでもないのですが、つい「寒い思いをさせたから」「体調管理がよくなかったから」と自分を責めてしまうんですね。私自身も2人の娘の母親ですが、子どもが小さい頃は「この子が慎重すぎるのは、私の子育てに工夫が足りないせいかも」などと思っていました。でも、あるとき、それは私が子どもに自分の理想像を押し付けていただけだと気づいたんです。その子はその子で、パーフェクト。性格が慎重なら、慎重だからこそのいいところがあります。例えば、急に家を飛び出したり高いところから飛び降りたりなどの危険なことをしません。いずれにしても私にできることは、子どもをよく見て、話を聞いて、手助けをすることだと思うようになりました。一方、こうして母親の私が「自分のせいかもしれない」と思うのは、子どもに対して愛情があって、しかも責任を感じているからだとも思いました。普段から子どもに無関心な親がいたとして、その人は子どもの何かを「自分のせいかもしれない」なんて思うでしょうか?子どもに対して責任感を持っていれば、男性であれ女性であれ子育てをします。その結果として「自分のせい」と思ってしまうこともあるのです。悩み続けてしまう場合は周囲の人や専門家に相談をでは、子どもの問題を全て「自分のせいだ」と思いすぎてしまう場合は、どうしたらいいでしょうか。私は、いったん立ち止まり「もう1人の親である父親もそう思っているか」「子ども時代の自分の問題点は母親のせいだったか」を考えてみてほしいと思います。子どもに何か問題があるとして、「自分のせい」と思ってしまう父親は、母親に比べて少ないのではないでしょうか。また、自分自身の子ども時代を振り返ると、全てが母親のせいだったなんてことはないとわかります。もしもお子さんのもう1人の親である父親が子育てを分担していない場合は、半分を担ってもらいましょう。これだけでも責任は軽くなるはずです。父親が半分を担えない場合、またそれでも悩んでしまう場合は、友人や知人、祖父母、子育て支援センター、幼稚園や保育園やこども園(子育て相談を引き受けているところがあります)、スクールカウンセラー、児童相談所などに相談しましょう。周囲の人以外に相談する場合に大切なのは、以下の3点です。①何の専門家なのかを確認すること子育て支援には、さまざまな専門家がいます。保健師、助産師、看護師、医師、栄養士、保育士など、相談相手がどの資格保持者なのかを意識しましょう。例えば栄養について相談するなら、医師よりも栄養士が適しています。そうしたことを意識するだけで問題解決に繋がりやすくなるはずです。②基本的には公的機関を頼ることインターネット上には「子育て支援」「子育てカウンセラー」を標榜する人が多数いますが、経歴や人物、資格の有無がわからないので、なんとなくで選ぶのはリスクが大きいと思います。基本的には公の機関に相談しましょう。個人的な感想を話されても、解決には繋がらないのです。③少なくとも3人に聞くこと公的機関所属の資格保持者であっても、一部には「お母さんが頑張らなきゃ!」などと母親の責任にする人もいるでしょうし、相性が合わない場合もあるでしょう。少なくとも3人に聞いてみてください。子育ての問題を自分のせいだと思ってしまうのは、お子さんに愛情があるからこそであり、また責任感もある証拠です。つまり、十分にきちんとした親御さんなのです。ですから、あまり無理をしすぎないで、周囲の人や専門家に相談してみてくださいね。この記事の監修者小児科医森戸やすみ 先生小児科専門医/どうかん山こどもクリニック院長。一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は東京都谷中のどうかん山こどもクリニック院長。医療者と非医療者の架け橋となる記事や本の発表に意欲的に取り組んでいる。『子育てはだいたいで大丈夫 小児科医ママが今伝えたいこと! 』(内外出版社)、『祖父母手帳』(日本文芸社)など著書、監修多数。連載◆PRESIDENT Online/小児科医と考える「日本を子育てしやすい国にする方法」◆東京すくすく/森戸やすみのメディカルトーク◆月刊誌・母の友(福音館書店)/子どもの健康Q&A→記事一覧へこの記事の執筆者編集者・ライター大西まお出版社にて雑誌・PR誌・書籍の編集をしたのち、独立。現在は、WEB記事のライティングおよび編集、書籍の編集をしている。主な担当書に、森戸やすみ 著『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』、名取宏 著『「ニセ医学」に騙されないために』など。特に子育て、教育、医療、エッセイなどの分野に関心がある。→記事一覧へ
2024年01月05日Q:子どものギャン泣きや癇癪、「見守って」と言われたけれど、どれくらいの時間、どのように見守れば良いのでしょうか?A:1歳過ぎから3歳くらいの子どもの癇癪はまずは疲れや空腹、眠気などを満たすように心がけましょう。3歳以上の場合は子どもの安全が確保されていることを確認し、癇癪が自然に落ち着くのを待つのがよいでしょう。15分以上癇癪が続き、ひどく困る場合にはかかりつけ医に相談されることをお勧めします。Upload By 発達障害のキホン言葉が出始める1歳過ぎから3歳くらいまでは、物事が思い通りにならないときに癇癪を起こすことがあります。疲れや、空腹、眠いなどの条件も重なって、癇癪が強くなることがあります。まずは、疲れや空腹、眠気などを満たすように心がけます。3歳以上の場合、子どもは言葉は増えてきていても、感情のコントロールがつきにくかったり、気持ちの言語化が未熟なため癇癪を起こすことがあります。まずは子どもの安全が確保されていることを確認し、癇癪が自然に落ち着くのを待ちます。癇癪の最中に、さまざまな声掛けをしてもお子さんの癇癪がヒートアップすることがあるので、まずは落ち着くのを待ちます。見守る時間は、お子さんによって、状況によってさまざまです。癇癪の背景にある状況によって、時間の長短には差があるためです。眠気があって、癇癪があった場合には、眠るまで見守ることになるので、時間で区切ることは難しいです。癇癪が落ち着いたのち、お子さんの気持ちを受け入れることが重要です。また、同時にルールや状況の説明を行い、感情のコントロールの手助けをすることも大切になります。15分以内に収まる程度であれば良いですが、なかなか癇癪が収まらず、ひどく困る場合には、かかりつけ医に相談されることをお勧めします。
2024年01月03日本格的な寒さが到来し、暖房器具の使用も増えるこの季節、子どものやけどに注意が必要です。3児のママ小児科医で、高円寺こどもクリニック院長の保田典子先生に「寒い季節、室内でやりがちなNG行動」を教えてもらいました。こんにちは、小児科医の保田典子です。寒い日が続きますね。クリニックに来る赤ちゃんたちもモコモコしていて、ますますかわいい季節になりました。 気になるのが「子どもが寒いとかわいそう」と着せすぎている印象のある親御さんが多いこと。今回は寒い冬の季節に家の中での適切な寒さ対策と、やりがちNG行動についてご紹介します。 NG1:裏起毛、厚手のモコモコした洋服を着せる冬は意外にも「あせも」でクリニックを受診する子が多くいます。抱っこしていたり、暖かい室内で厚手の服で動き回ったりすることで、暑くて汗をかく+乾燥なども加わり湿疹が悪化することがあります。 裏起毛の服は温かいですが、起毛部分が刺激になることがあり、汗を吸いにくいことがあります。着せちゃダメというわけではありませんが、お子さんによっては肌に合わない場合もあるので、まとめて一気に購入せずに一度試してみて、お子さんに合うメーカーのものを使うと良いでしょう。 家の中や商業施設など、室内にほとんどいることが多い日は、モコモコした厚手の服を重ねるとお子さんは暑く感じるかもしれません。子どもはよく動くので、思いのほか汗をかきます。厚着をしすぎると動きも制限されるので発達にも良くありません。室温を21度くらいに設定しつつ、あまり厚着させるのは控えましょう。 NG2:室内で靴下をはかせる室内は室温調整が基本です。寒い季節でも、2歳未満のお子さんや歩きがおぼつかないような子は、裏に滑り止めがついていても靴下は滑る可能性があるので、室内では履かせなくていいでしょう。 手足が冷たくて心配になるかもしれませんが、寒がってなければ問題ありません。寝ているときは、首など中枢体温が温かければ大丈夫です。赤ちゃんの手足は、体温が高いときには熱を放出し、反対に低いときには毛細血管を収縮させることによって熱を逃がさない役割を果たしています。 お子さんは動き回って暑くなることも多いので、「手足は体温調節するために出しておく」と覚えていただき、多少手足が冷たくてもあまり気にしなくて大丈夫です。ただこれは、あくまで室内での話です。しもやけになるような冷たい所にいるときや冬の外出時は防寒対策として靴下をはかせてあげましょう。 NG3:ミトンをつける寒い季節、赤ちゃんの手にミトンを着ける方もいますが、基本的にミトン着用は避けましょう。先ほどもお伝えした通り、子どもの手足は冷たくても大丈夫なんです。赤ちゃんは手足で体温調整することもありますし、お子さんは指しゃぶりをしたり、自分の1番近くにある手を認識することで、手と口の発育を促し、物への認識力を高め、脳の発育と大きな関係があると言われていますので、つけないほうが良いでしょう。 ミトンは外れやすいので、就寝時に着けっぱなしにすると寝ている間に取れてしまい、窒息の原因になることもあります。 顔のひっかき傷対策でつけたい場合は、夜間など親御さんの目が届かないところでの使用を避けましょう。日中目が届くところで短時間なら問題ありません。 顔のひっかきに関しては、爪を短く切り、角がないようにやすりで整えて対策しましょう。それでもひっかいてしまう場合もありますが、傷はきれいに治るので、きちんと爪対策をした上でのひっかき傷は様子見でもいいのではないでしょうか。 暑がっていたら脱がせてOK!子どもって、寒いときでもびっくりするほど薄着になりたがりますよね。室内で遊びまわっていて子どもが暑がったら、脱がせてしまってOKです。そうじゃないと汗だくになって、そのあと体が冷えてしまうかもしれません。遊び終わったときに寒そうならしっかり着せてあげてくださいね。 生後3カ月も過ぎると赤ちゃんは暑がりです。親は「寒くないかな?」とつい心配して、厚着させてしまいがちですが、部屋の中では特に薄着を意識してみてください。監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生
2024年01月03日夫の海外転勤で、私と1歳の息子は「子どもにやさしい」と言われているA国で暮らすことに。新天地での生活をスタートさせてやっと1週間が経ったころ、家族3人でバスに乗ってお出かけをしました。楽しい気分もつかの間、バスの車内で見知らぬ女性にジロジロ見られ……。見知らぬ女性の言動にびっくりしたものの、のちに家族で感謝したエピソードをご紹介します。バスでひと際目立っている派手な女性バスに乗車して最初に私の目に入ってきたのは、化粧がバッチリきまった強そうな女性でした。ゴールドチェーンと蝶の形をしたヘアアクセサリーをアップにした髪に付け、真っ白なボリュームのあるファーコートとミニスカートに網タイツを合わせた装いをしていました。女性が座っている席の高さと位置が目立つせいもありますが、乗客の中でひと際存在感があったのです。 私たち家族は、その女性が座っている席の斜め前に座りました。すると女性は、私たち家族をジロジロ見てきたのです。私は「何か様子がおかしい。極力関わらないようにしよう」と早く目的地に着くことを祈っていました。 急になぜ!? 子どもが病気だと言われ…ジロジロと見られて10分ほど経ったとき、急に女性が自分の席を立ち私たちのところへ。私は内心ドキドキが止まらず、息子だけは守らなければと少しパニックになっていました。女性は開口一番、「あなたの子どもは病気だと思う」と言ってきたのです。私も夫も突然知らない人から、しかも思ってもみなかったことを言われ一瞬固まりました。 女性から話をよく聞くと、息子は「アデノイド肥大※」という病気の症状が見受けられるとのこと。口をずっと開けているのが特に気になると言われました。私は初めて聞いた病名をその場でネット検索。すると、ネットに書いてある症状と息子の普段の様子がいろいろと当てはまっていることがわかりました。 女性は「急ぎではないけれど一応ドクターに診てもらったほうが良い」とアドバイスを残し、私たちより先に下車していったのです。結局、この女性が何者なのかわからないままでした。 ※アデノイド肥大:鼻の一番奥の突き当たり、喉との間の上咽頭にあるリンパ組織のかたまり(アデノイド)が肥大した状態のこと。アデノイドが肥大すると、鼻声、鼻詰まり、口呼吸、いびき、睡眠時無呼吸などの症状を引き起こすことがある。 気になって病院へ。診察結果は?女性のアドバイス通り、まず近所の小児科へ息子を連れて行くことに。小児科の先生は「たしかにアデノイド肥大の症状や疑いはあるが、手術するほどの大きさではないと思う」と言いつつも、念のため詳しく見てくれる耳鼻科を紹介してくれました。 耳鼻科でも診察していただきましたが、手術するほどではないから大丈夫と鼻炎の薬を処方してもらい経過観察に。幸い息子は大きな病気ではなかったことに、私は心底ホッとしたのでした。 もしあのとき女性が勇気をもって息子が病気かもしれないと私たち夫婦に指摘してくれなかったら、アデノイド肥大という病気のことを今も知らなかったと思います。女性のおかげで、息子の様子を注意して見守る意識ができたことにとても感謝しています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師 松田玲子著者:米久 熊代1歳男児の母。人材会社や人事の仕事を経験し、夫の転勤を機に退職。現在はフリーランスとして前職関係の仕事とライターをしながら、プレママ・新米ママ向けブログを運営中。
2024年01月02日Q:夜泣きが酷くて親も寝不足です。対応方法などあるのでしょうか。A:できる工夫として、布団に入る時間をなるべく一定にする、入浴や歯磨き、着替えるなどの入眠前の行動(入眠儀式)を同じ順番で行う、室内環境を整える、朝まで空腹にならない夕食をとるなどがあります。Upload By 発達障害のキホン3歳未満の夜泣きは、成長過程や睡眠サイクルの一部として生じます。夜間に短いサイクルで浅い眠りと深い眠りが交互に繰り返され、深い眠りから浅い眠りに移行する際に、起きてしまうことがあります。3歳以上の場合には、環境変化、身体的・情緒的な疲れなどで夜泣きが表れることがあります。布団に入る時間をなるべく一定にし、入浴や歯磨き、着替えるなどの入眠前の行動(入眠儀式)を同じ順番で行っていきます。音や灯りなど刺激が強すぎない室内環境を整え、朝まで空腹にならない夕食をとる工夫も必要です。布団に入る前の1時間前からブルーライトは刺激になるため、控える必要があります。子どもにやめさせるだけでなく、大人も控えることが望ましいです。さまざまな対応をしても夜泣きが頻繁で悩んでいる場合には、かかりつけ医に相談することが重要です。子どもに合った適切な関わり方を知り、時に夜泣きに効果が期待できる漢方薬などを服用することで夜泣きが軽減していくこともあります。
2023年12月30日大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区社長:上原 茂](以下、当社)が運用する健康情報サイト「大正健康ナビ( )」では、専門医監修による設問に「はい・いいえ」などで回答すると、気になる症状や健康状態をチェックできるドクターズチェックを公開しています。12月27日に新着更新した「起立性調節障害注意度チェック」では、田中 英高先生監修のもと起立性調節障害注意度をセルフチェックすることができます。◆新着情報人気コンテンツ・ドクターズチェック「起立性調節障害注意度チェック」 起立性調節障害についてご存知でしょうか?子どもが朝起きられず学校に行けない、無理に起こすと具合が悪くなってしまう。そんな悩みを抱える保護者がいらっしゃいます。お子さんにそのような症状が現れたら、起立性調節障害かもしれません。「学校に行きたいのに行けない」「勉強が遅れてしまう」などといったつらさや不安を抱える子どもに寄り添い、適切にケアするために、まずは起立性調節障害が疑われる症状がないかチェックしてみましょう。大正健康ナビは、生活者の日常生活に寄り添い、「人生100年時代をサポートする健康情報発信基地」として、みなさまの健康の維持・増進にお役立ていただけるサイト運営を目指しております。当社は、これからも健康と美を願う生活者に納得していただける優れた医薬品・健康関連商品、情報及びサービスを、社会から支持される方法で創造・提供することにより、社会へ貢献してまいります。【監修者プロフィール】OD低血圧クリニック田中院長田中 英高(たなか・ひでたか)先生大阪医科大学(現大阪医科薬科大学)卒業。医学博士。スウェーデンのリンショッピン大学臨床生理学教室客員研究員、大阪医科大学小児科助教授、大阪医科大学附属病院発達小児科科長、准教授を経て、2014年にOD低血圧クリニック田中を開院。『起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応』『起立性調節障害がよくわかる本』など起立性調節障害に関する著書多数。■ご参考●大正健康ナビ 大正健康ナビでは、お悩みの原因、症状、対策や予防法などをご紹介しています。いろいろな疑問に専門家が分かりやすくお答えしています。【大正健康ナビ】起立性調節障害注意度チェック.pdf : 起立性調節障害注意度チェック|大正健康ナビ|大正製薬 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年12月27日まさかのトリプル感染(※画像は紺野あさ美さんオフィシャルブログより)紺野さんは2017年に日本ハムファイターズの杉浦稔大投手と結婚し、同年9月に第一子となる長女、2019年2月に第二子となる長男、2021年8月に第三子となる次男が誕生しています。幼い三児を育てているとあって、インフルエンザをはじめさまざまな感染症が流行っているこの冬は戦々恐々。感染症の大流行から逃れきることは難しく、紺野さんの家族もバタバタと倒れてしまったといい、闘病の記録をYouTubeチャンネルに投稿しました。まず高熱を出した長女を小児科に連れて行くと、インフルエンザA型、アデノウイルス、溶連菌の3つが同時に陽性となる「トリプル感染」と判明。杉浦さんはインフルエンザA型、長男は溶連菌とインフルエンザA型、次男は溶連菌、紺野さんも最後にインフルエンザA型……と、家庭内で複数の感染症が同時に蔓延する悲惨な事態になっていたといいます。長女は39度以上の高熱で食欲がなく、アイスクリームなら食べられるということで、食事はアイスクリームのみ。紺野さんは「39.7はきついよね」と心配そう。看病に追われるなか、いざというときのためにストックしておいたお気に入りの店の冷凍カレーが他の家族のごはんに重宝したといい、「ほんと、これあって助かった~」と心の声が漏れます。発熱2日目、長女の熱が朝一瞬下がった際にごはんを食べられそうというので準備しますが、食べられたのは一口だけ。その後に粉薬を飲ませようとしますが、溶連菌の抗生剤が苦くて長女がなかなか飲めず、ジュースやゼリーに混ぜるも、苦みは抑えられず苦戦したそう。普通のゼリーだと粉薬が溶け出してしまうも、薬用のゼリー「おくすり飲めたね」はしっかりと粉薬を包み込んでくれて、無事に飲むことができました。発熱3日目になっても、朝はまだ38度8分の長女。しかし「そうめんなら食べたい」と少しずつ食べられるようになってきたようです。しかし今度は次男が38度1分の発熱!少し様子見です。発熱から4日目の朝、長女はまだ38度5分。昨日38度超えした次男も、今朝は37度1分まで下がったそうですが、次に杉浦さんが38度5分の発熱と、家庭内で発熱がどんどん連鎖してしまいます。おかゆを食べてくれない問題【あるある】風邪を引いたときの食事といえばおかゆが定番で、紺野さんもいろんな味のおかゆを作ってきたそうですが、「子どもたちは全然食べてくれない」という悩みも。おかゆが苦手なお子さんは少なくないですよね。子どもが食べてくれることを優先し、紺野さんはコストコのパンとベーグルをフレンチトーストにした食事を作っていました。いまだに溶連菌の抗生物質に苦戦している長女、ココアに溶かして飲んだら今まで1番飲みやすかったそうです。少し体調が良くなった杉浦さんに長女と長男をまかせて、次男を病院に連れて行ったところ、溶連菌のみ陽性でした。紺野さんは「いつかかってもおかしくない状況ですが、私がかかってしまうと我が家が大変なことになってしまうので……」と家族が寝静まった後、限界を迎えていた腰のストレッチをします。家族が病気になっても自分だけは感染できない……母の悲痛な心の叫びに共感するママは多いのではないでしょうか。発熱から5日経っても、長女は38度2分、夫の杉浦さんも38度でまだしんどそう。長女はあさり、豆腐、小松菜の中華スープを飲むことができ、その日のうちに熱が36度9分まで下がりました。紺野さんは看病疲れがあるなか、「でも食べてないからまだちょっと元気ないね。食べられるもの食べよう」とお子さんが食べられるものを一生懸命考えて料理。やさしいお母さんですね。嫌な予感が的中……長女の発熱から6日目になると、パパとお勉強できるぐらい元気に。しかし、午後に長男が熱いなと思って熱を計ったら38度4分。嫌な予感は的中、翌日に紺野さんも発熱し、診察してもらうと長男も紺野さんもインフルエンザA型だったそうです。長女がやっと登園できるか……と思った矢先のことに、「どうするかな。最悪のパターンになってしまった…。来週、東京に行く仕事も入ってるし……」と、さすがの紺野さんもしばし思考停止の状態に。紺野さんもインフルエンザにかかっているものの、まだ動く体力はあるといい、たまった洗い物をこなします。「やっぱりさ、子どもが体調悪くても、自分もちょっと体調悪くても、家事は休みなくあるから主婦は大変ですよね」。もう涙なくしては聞けません。それでも徐々に子どもたちの熱は下がり、長女の発熱から12日後にやっと全員が登園可能な状態にまで回復しました。紺野さんは「やっと日常が戻ってきました。長かった~!」と心から安堵の声!「ちょうど日帰りで東京の仕事があったので、よかった、迷惑をかけることにならなくて」と、なんとか仕事には間に合ったといいます。自身もインフルエンザにかかっていても、家事や子どもの習い事の振替など、休む間もない紺野さん。それでもお子さんが少しでも食べられるようにと料理を工夫したり、やさしい言葉をかけたりする姿に、三児の母の強さが滲み出ていました。
2023年12月27日先日、私と息子が同時にインフルエンザにかかりました。夫だけは罹患しなかったので、息子を小児科へ連れて行ってくれたのですが、その後の夫の言葉に驚愕してしまいました……。夫からのまさかの言葉息子が診察をしてもらった病院では大人の診察はできないと言われたので、私は別の病院を予約しました。私は39度を超える高熱で、着替えるのも、歩くのもやっと。その姿をみているのに、なんと夫は「自分で運転していける?」と言ってきたのです。息子を病院へ連れていってくれたことはありがたいですが、私への配慮がなさすぎて悲しくなり、「無理に決まってるでしょ」と怒ってしまいました。 夫もハッとしたようで、「ごめん」と謝りすぐに私を病院へ連れていってくれました。夫も息子と私が同時にインフルエンザにかかって焦っていたのかもしれません。冷静になった私は夫に激怒してしまったことを反省。家族が大変なときこそ、お互いに配慮ある行動や言葉選びをしていくことが大切だと痛感した出来事でした。 作画/ぽよ母著者:渡辺もな
2023年12月24日怖がりなしおさんは無痛分娩を選択し、元気な女の子を出産。しかし、しおさんはいぼ痔になってしまうのです。その後は赤ちゃんのお世話におしりの痛みにとバタバタな入院生活を送ります。入院生活も4日目。昼食の準備をしていると、話したいことがあると助産師さんに呼び止められます。ナースステーションへ向かうと小児科医が待ち構えていました。入院中に赤ちゃんの検査をしたと言い、1枚の紙を渡され、そこに「黄疸」の文字が。医師からの説明を聞いたしおさんはショックを受けます。今後のスケジュールを聞いても頭に入らず、黄疸について書かれた紙をぼうぜんと眺めるしおさん。昼食をとろうと歩き出したのですが……。 い、院長ぅ… 廊下を歩く足取りは重く、「赤ちゃんがおとなしいのは、どこか悪くて元気がなかったせい?」と考え、胸が苦しくなるしおさん。病室へ戻ったものの、不安で押しつぶされそうになり泣き出します。そこへ小児科の先生が現れ、「治療をすれば良くなるしきっと大丈夫だから!」と励ましの言葉をもらい泣き崩れてしまうのでした。 昼食を終え片付けをしていたしおさんは、院長と遭遇します。元気のないしおさんに「治療すれば問題ないからさ。元気だしなさい」とやさしい言葉をかけ勇気づけます。その言葉を聞きしおさんも心が和むのでした。 気持ちも少し落ち着いたころ、助産師さんがしおさんの病室を訪れ、治療中の赤ちゃんを見てみないかと提案します。しかし、見たら泣いてしまいそうだと思い、見学を断ります。返事を聞き立ち去ろうとした助産師さんが、「今日の夕方に院長が内診するから一緒に来てちょうだいね」とひと言。しおさんは「いぼ痔を押し込まれる可能性、大!」と察し戦々恐々とするのでした。 ◇ ◇ ◇ 赤ちゃんのことが心配で泣き出してしまったしおさん。不安でいっぱいなときはネガティブな言葉が頭に浮かんでしまいますよね。しかし、小児科の先生と院長に「治療をすれば大丈夫」と言われ、気持ちが落ちついたのではないでしょうか? 体も心も大変な時期だからこそ、周りに支えてもらいながらポジティブな考え方ができると良いですね。 監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター しお
2023年12月17日